車の修理用パーツの価格が上昇傾向!? なるべく安く修理する方法とは?
メーカーの修理用純正パーツが全般的に値上がりしているようです。なぜパーツが高騰傾向なのでしょうか。また、修理費を安く抑えるためにはどうすればいいのかなどを、整備のプロに聞いてみました。
修理用純正パーツが値上がり傾向なのはなぜ?
長年乗り続けているクルマや、中古で購入した古いクルマが故障したときなど、メーカーから純正パーツを取り寄せて修理することがあります。
しかし、最近は純正パーツの値段が値上がりしている傾向があるというのですが、それはなぜなのでしょうか。
クルマには「減価償却」という考え方があり、よほどの理由がない限り毎年価値が下がっていくものです。また、中古車の場合は、その時点で販売からすでに数年経過している状態で、数年経つと生産終了から10年を超えてしまうことがあります。
メーカーは修理用に純正パーツを保持する義務があるものの、原則的に生産終了から8年と法律で定められています。そのため、修理が必要になったときに純正パーツがないという状況にもなりかねないのです。
さらに、古いクルマでなくても、全体的に純正パーツの値段が上がっています。クルマの価値は下がる一方なのに、修理するために必要なパーツの値段は上がる一方というジレンマが発生しているのです。
純正パーツは、年に2回価格改定がおこなわれているのですが、値上がりすることがほとんどです。
たとえば、2009年から2015年まで生産された3代目のトヨタ「プリウス」などは、デビュー当時のフロントバンパーの価格が4万8600円(業販価格・色付き)だったものが、現在では7万7100円と、10年ほどで60%近くも上昇。
これはトヨタに限った話ではなく、ほかのメーカーも値上げを繰り返している状況だといわれています。
ネオクラシックとして人気の日産「スカイラインGT-R」やトヨタ「スープラ(A70/A80)」など、メーカー主導で純正パーツを復刻生産する動きもありますが、少し古めの量販車のパーツの値段が高騰している状況を考えると、中古車を購入する前に、修理用のパーツのことも考慮しておく必要がありそうです。
パーツの値上がりについては、ふたつの理由が考えられます。ひとつは原材料費の価格上昇に伴う純粋な製造コストの増加と、物価の上昇に伴うものです。
現在、各メーカーが必死にコストダウンを図っているのも、製造コストを抑えつつ利益を確保するためですよ。
もうひとつが、「意匠権」によるメーカーの独占状態(価格競争が起きない状態)が続いていることが推測されます。
意匠権とは、クルマも含めて「美感を起こさせる物品の形状・模様・色彩のデザインの創作における産業財産権」の1種類で、デザインも含めて「クルマを形作るデザインの著作権」のようなものです。
制度がスタートした当初は、特徴的なグリルやバンパーなどにとどまっていましたが、徐々に権利を取得する領域が拡大され、デザイン性とは関連がなくても車体を構成するパーツごとの権利である「部分意匠権」が認められるようになりました。
現在のクルマのほとんどは、外装パーツにこの部分意匠権が申請され、権利を取得しています。
これは世界的に認められている権利で、これによってコピー商品やデザインの模倣を防止する効果があったのですが、海外ではEUで3年から5年の権利期間であるのに対し、日本は20年という長期間にわたって権利を保有している状態です。
品質的に同レベルのバンパーが海外で安く作れても、日本のメーカーが保有する意匠権により、安い社外品はコピー商品扱いで正規輸入が認められていないのです。
結果として、修理用の純正パーツはメーカーが自由に価格設定できることになり、そのため価格が上昇しているというわけです。
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