レクサスEV第1弾! 「UX300e」はどんな乗り味? 電動技術15年目の答え
ただUXをEV化させただけではない!? 進化を極めたUXの実力とは
プラットフォームはガソリン/ハイブリッドと同じTNGA「GA-C」ですが、バッテリーパック搭載のために鋼鉄製アンダーフレームをプラス。実はこれによってキャビン全体の剛性も引き上げられています。
加えてフロント周りはサイドメンバー間をクロスメンバーで繋ぐと共にステアリングギアボックスへのブレースの追加やギアボックスの両側のリジット化。
リア周りは大断面アルミ製バンパーリーンフォースや専用セットアップのパフォーマンスダンパーをプラスするなど、車両全体の剛性バランスも整えられています。
これらはバッテリー搭載による重要増の手当だけでなく、音/振動とのトレードオフにより今までやりたくてもできなかった部分に手が入れられたのでしょう。
この体幹を鍛えた車体に専用セットアップのサスペンションと非ランフラットタイヤの組み合わせで、バージョンCは17インチ(ダンロップ)、バージョンLは18インチ(ミシュラン)を装着しています。
元々UXは「足を硬めてスポーティ」ではなく「足を動かしながら正確にクルマを動かす」という、基本素性の良さを活かした走りが特長でしたが、UX300eはその良さを継承しながら、すべての部位がより精緻、より滑らかになっています。
前後重量配分の適正化や重心も下がったことで、ロール感が減ったうえに4つのタイヤをより効果的に使えています。
加えて、ゆらゆら動くエンジンがない(振動との兼ね合いでマウントを硬くできない)ことも相まって操舵に対してノーズがスッと入る点など、意外とコーナリングマシンに仕上がっています。
乗り心地に関しては、重量増がいい方向に働いているのと非ランフラットタイヤの採用、より緻密になった加減速ピッチ制御も相まって、RXやNXといった兄貴分を超える動的質感も備えていると感じました。
また、レクサスの特徴のひとつでもある静粛性も、音/振動の一番の発生源(=エンジン)が無くなったことに加えて、床下バッテリーに遮音壁の機能を持たせています。
さらにアコースティックガラスの採用により風切り音やロードノイズ低減も相まって、末っ子ながらも親分のLSに勝るとも劣らずといった印象でした。
ただし、完全な無音ではなくASC(アクティブサウンドコントロール)の採用により遊び心も忘れていません。
グレードは2種類で、バージョンCが580万円、バージョンLが635万円、ハイブリッドモデルの同グレードと比較してみると100万+αの価格アップとなっています。
ちなみに販売は2020年度分限定135台となっており、10月22日13時30分から11月4日23時59分まで公式Webサイトで商談申し込み(抽選)受け付け中です。
EVに慎重だったコーポレートトヨタがUX300eを皮切りに動き始めましたが、どのように評価されるのか注目です。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
レクサスのカタログでこの車のトランスミッションを見たら1段式変速機と記載があり、ホンダ-eにはそもそもトランスミッションの項目がない。
この車のEV機構の考え方って、HVからエンジン抜いただけ?