なぜライトが「眩しい!」声が増加? SUVやミニバン流行の背景やLED採用車が増えたから?

「車高が高いからまぶしい」わけではない? 眩しさの正体とは

 それでも、「SUVやミニバンなど車高の高いクルマはまぶしい」という意見は根強くあります。直感的には正しく思えてしまいますが、果たしてこれは正しいのでしょうか。

 保安部品であるヘッドライトには厳格な基準が適用され、違反していると車検を取得することができません。

 現在の基準では、ヘッドライトはロービームで40m先、ハイビームで100m先を確認できる必要があります。

 またヘッドライトの取り付け位置も120cm以下と規定されており、なおかつ照射高度も100cm以下となっているため、車高が高くなればなるほど高くなればなるほどヘッドライトの位置が高くなるわけではありません。

 実際に、これらの基準はトラックなどでも採用されていますが、多くのトラックではフロントバンパーにヘッドライトを埋め込むことで基準をクリアしています。

 また、クルマのヘッドライトには、カットオフと呼ばれる上部方向への照射を制限する機構が備わっており、SUVやミニバンだから特別まぶしいともいえないようです。

コンパクトカーの「ヤリス(左)」とSUVの「ヤリスクロス(右)」ではヘッドライトの位置が異なる
コンパクトカーの「ヤリス(左)」とSUVの「ヤリスクロス(右)」ではヘッドライトの位置が異なる

 では、なぜまぶしいと感じる人が多いのでしょうか。

 ひとつは光軸のズレです。トランクに重量物を日常的に積載している場合など、光軸がわずかに上方向へズレることがあります。

 最近のクルマには光軸調整機能が備わっているため、実際の運転状況に合わせた調整が必要です。

 もうひとつは、社外品のLEDライトに交換したり、サスペンションを交換するなどして車高が変化しているなどといった、カスタムの影響によるものです。

 とくに、LEDライトへの交換は専門店でなくてもできてしまうことから、DIYでは光軸の調整までおこなわないというケースもあります。

 また、ヘッドライト(ロービーム)の明るさには車検を取得するための上限は事実上定められておらず、かなり明るいものを使用することも可能です。

 違法改造とまではいえないまでも、度を越したカスタムは他車の迷惑になる可能性もあるので注意が必要です。

 そして最後は、ヘッドライト以外がまぶしいという可能性です。

 ミニバンやSUVではフォグランプが搭載されているクルマも多くありますが、フォグランプの社外品への交換はもっとも手軽カスタムなひとつであるため、DIYで交換するユーザーも少なくありません。

 しかし、フォグランプもまた保安基準が厳密に定められているため、きちんとした光軸調整が必要です。

※ ※ ※

 後続車からの照射が眩しい場合、防眩仕様のミラーを利用することで対策することが可能です。

 輸入車などでは自動防眩機能のついたミラーが標準装備となっている場合も少なくありません。

 あまり目立たない機能ですが、安全運転のためにも、一度自分のクルマのミラーの機能を確認してみるとよいでしょう。

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Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

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