MT車は廃止方向なの!? 減少でもマツダ・スズキに多数設定 トヨタは採用増のワケ

MTを残す理由は「操る歓びを感じてほしい」だけじゃない?

 カローラにMTが設定されたことについて、開発者は「『自分でクルマを操る』というところを感じていただきたいと考え、その思いを伝えたかったので、MT仕様を残した」と話しています。

 このように、MT車の最大のメリットとして、「操る歓び」が強調されることが少なくありません。

MTでは自分で操っている感覚を楽しむ人も多い
MTでは自分で操っている感覚を楽しむ人も多い

 さらには、このAT全盛の時代において、あえてMT車を設定することは、スポーツカー文化を継承することであるとして、美談としてとらえられることもあります。

 もちろん、カローラの開発者がいうような面もあることでしょう。しかし、そういったごく少数のマニアのためだけにMT仕様を設定しているのでしょうか。

 とくに、最近では販売するラインナップの「選択と集中」が進んでおり、合理的にラインナップを整理する傾向が高まっています。

 そのため、一部のマニアに向けてMT車を設定している余裕はないようにも思えます。MT車を設定するビジネス上のメリットはほかにもあるのでしょうか。

 自動車業界の関係者は次のように話します。

「実は日本は世界的に見てAT比率が高い国といえます。そのため、日本国内にだけ向けてMT車を設定していてはとてもビジネスになりません。

 一方、マツダが主戦場としている欧州では、いまだに新車販売の半数以上がMT車といわれています。

 そのため、欧州でクルマを販売するためにはMT車を設定する必要がありますが、製造業の大原則として、生産量が多ければ多いほど1台あたりのコストを下げられることから、日本向けのMTと合わせて生産しているといえます。

 日本専売モデルとしてスタートしたCX-8にはMTが設定されていないことから見ても、マツダのMT仕様が欧州をメインとしていることは明らかです。

 スズキについても、モデルにもよりますが、海外でも展開しているモデルは、マツダと同様の事情と思われます。

 ハスラーなどの国内向けモデルにMT仕様がある理由は、数少ない需要を総取りするためでしょう。

 反対に、北米はAT優勢の市場となっているため、スバルのように北米と日本を主戦場としているメーカーでは、一部の『インプレッサ』や『クロストレック(日本名XV)』などにMTを採用しているものの、ATが優先されています。。

 また、とくに日本では『アイサイト』の需要が高く、現時点ではアイサイトとMTが共存できないことから、MT仕様が撤廃されたといわれています」

※ ※ ※

 マツダやスズキがMT車を設定し続ける背景には、海外、特に欧州市場での販売比率の高さが影響しているようです。

 しかし、今後自動車の電動化が進めば進むほど欧州でもMTは減少していくことが予想されます。

 スーパーカーや欧州のスポーツカーでは、2ペダルを採用するモデルも続々と登場しているほか、スポーツカー自体の電動化も進んでいます。

 そうしたときに、各メーカーがどのようにして「操る歓び」をアピールしてくるのか、注目です。

マツダ・CX-30 のカタログ情報を見る

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Writer: Peacock Blue K.K.

東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。

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