廉価モデルが1億円? ポルシェ「916」は激レア試作モデルだった!!

エントリーモデルとして登場したポルシェの廉価版的存在である「914」とほぼ同じ形をした1台のポルシェが、約1億円で落札された。どうしてそれほどまでに高額であるのだろうか。

驚愕の1億円もするポルシェ「916」とは?

 今回、RMサザビーズのオークションに登場したポルシェ916は、RMサザビーズの資料によれば、フェルディナンド・ピエヒの妹のプライベートカーとして製作されたものであるという。インテリアにはチェスナットレザーが配され、シートはペイズリー柄のコーデュロイでまとめられている。

●1972 ポルシェ「916」

ミッドシップに空冷水平対向6気筒エンジンを搭載したポルシェ「916」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
ミッドシップに空冷水平対向6気筒エンジンを搭載したポルシェ「916」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 1973年には、ポルシェのエンジニアであったエルナ・ゲッテンに売却されている。その後、1978年に、ロサンゼルス・タイムズの発行人であったオースティン・チャンドラー氏の手に渡り、その後、松田コレクションで知られる松田芳穂氏の手に渡る。

 1999年にはアメリカのケリー・モース氏が所有者となり、さらに2008年にはトーマス・グルーバー氏の所有となって、機能面やインテリアはもちろん、そこでボディの修復を含めた総合的なオーバーホールがおこなわれている。

 そのため車両の状態は非常にいい。まさにコンクールコンディションといっていいレベルに仕上がっている。

 気になる落札価格だが、1979年にドイツからアメリカへと渡った際には、3万ドルだったこの個体、今回のオークションでは、なんと95万7000ドル(約1億円)という高額な価格で落札された。

 個人所有の個体はわずか10台。市販モデルのプロトタイプであるということを考えても、この価格は非常に高額といえるだろう。

 この価格と、個体の状態の良さを考えると、当時「911Sよりも速く、とくに加速はポルシェで1番」といわれていたその走りを存分に楽しむためには、大いなる勇気が必要となるのは間違いない。

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