当時は注目されなかったけど今見るとステキッ! 隠れた昭和の名車3選
これまで販売された国産車のなかには、いまも語り継がれるほどの名車があります。一方で、当時の評価はそれほど高くなかったり売れなかったモデルのなかにも、振り返ってみると優れたメカニズムやデザインのクルマが存在。そこで、昭和の時代に誕生した隠れた名車を、3車種ピックアップして紹介します。
昭和の時代に誕生した隠れた名車を振り返る
日本で本格的な自動車製造が始まったのは大正時代で、これまで100年以上の長い歴史があり、その間にいまも語り継がれているような名車が数多く存在します。
たとえば「スバル360」やトヨタ「2000GT」、マツダ「コスモスポーツ」、いすゞ「117クーペ」、日産初代「シルビア」などが挙げられ、どれも誰もが認める名車中の名車です。
一方で、当時はあまり評価されなかったり、人気とならなかったモデルのなかにも、いま振り返ってみると優れたデザインやメカニズムを採用していたクルマも存在。
そこで、昭和の時代に誕生した隠れた名車を、3車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「クラウン ハードトップ」
いまやトヨタだけでなく日本を代表する高級車といえる「クラウン」は、1955年に誕生し、65年もの歴史があるクルマです。
クラウンは初代からすでに高級車に分類されていましたが、昭和の時代は1車種で複数のボディタイプをラインナップするのが一般的で、初代にはセダンと多くのコンポーネンツを共有するライトバンが設定されていました。
そして、1967年発売の3代目から1979年発売の6代目まで、2ドアハードトップがラインナップされていました。
なかでも印象的なスタイルなのが、1971年に登場した4代目クラウンの2ドアハードトップです。
4代目クラウンの最大の特徴は、それまでの国産高級セダンとは一線を画する外観にあり、無骨イメージから一新されて角を丸くし、いまでは一般的なボディ同色バンパーを採用するなど、当時としてはかなり斬新なデザインとなっていました。
2ドアハードトップはセダンとは異なる角目2灯のヘッドライトを採用し、テールランプまわりのデザインも専用です。
また、リアサイドウインドウまわりの形状もユニークで、重厚感のあるフロントフェイスに対して、なだらかにトランクへとつながるルーフラインは、エレガントなラグジュアリークーペにふさわしいフォルムを実現。
しかし、アグレッシブな外観は保守的なユーザーから敬遠され、販売は低迷。後に「クラウン史上最大の失敗」とまでいわれ、実際にライバルの日産「セドリック/グロリア」に大きくシェアを奪われました。
そして、発売からわずか3年後の1974年に、直線基調で重厚感のあるデザインに一新された5代目にモデルチェンジして、販売台数は回復します。
現在、4代目のデザインは再評価されてファンも多く、クラウンらしからぬ2ドアハードトップは、とくにレアなモデルです。
●マツダ「ルーチェロータリークーペ」
マツダは1967年に、量産車世界初となるロータリーエンジンを搭載した「コスモスポーツ」を発売。
未来感あふれるデザインの外観に、パワフルなロータリーエンジンを組み合わせた生粋のスポーツカーで、2020年9月に一部の部品が再販されるなど、いまも愛されている名車です。
コスモスポーツの発売以降、マツダはロータリーエンジン搭載車の拡充を図り、1969年に「ルーチェロータリークーペ」が発売されました。
もともとルーチェは1966年に発売された4ドアのミドルクラスセダンですが、ルーチェロータリークーペはシャシや外観に共通項が無い、まったくの別車種です。
搭載されたエンジンは最高出力126馬力を発揮する655cc×2ローターのロータリーエンジンで、セダンのルーチェがFRだったのに対し、ルーチェロータリークーペは前輪を駆動するFFを採用。
このエンジンはルーチェロータリークーペ専用に設計され、現在までで唯一無二のFFロータリー車です。
エンジンを縦置きとしたことで、ロングホイールベースによる流麗なクーペフォルムを実現し、公称最高速度190km/hの動力性能と美しいスタイルから、「ハイウェイの貴公子」と呼ばれました。
しかし、非常に高価なクルマだったため販売は低迷し、1972年に生産を終了。いまでは現存数も極めて少なく、まさに幻の名車です。
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