当時は注目されなかったけど今見るとステキッ! 隠れた昭和の名車3選
日産初のFF車は斬新なデザインを採用!?
●日産「チェリー」
日産は1966年に、後に同社を代表する大衆車となる初代「サニー」を発売。マイカーが庶民でも買えるようになったことを象徴する1台でした。
ちょうどその頃の欧州では、本格的なFFコンパクトカーが普及しはじめており、日産はFRのサニーよりも小型のFF車「チェリー」を発売。
1970年にデビューしたチェリーはFFのメリット生かし、ひとクラス上のモデルと同等の広さを誇る室内空間を実現。
発売当初のボディバリエーションは2ドアセダンと4ドアセダンでしたが、1971年にはスポーティなクーペが加わります。チェリークーペは斬新でユニークなハッチバックスタイルで、左右後方視界を度外視したリアサイドのデザインは、4代目「スカイライン ハードトップ(ケンメリ)」をイメージさせました。
エンジンはサニー用に開発された1.2リッター直列4気筒OHVの「A12型」で、トランスミッションをエンジンの下に配置して横置きに搭載。
この2階建て構造はBMC「ミニ」の「A型」エンジンがすでに採用しており、エンジン全高が高くなるデメリットがありますが、コンパクトなシリンダーヘッドのOHVエンジンでは大きな問題とはならず、トランスミッションを含めたエンジン全長を短くできるメリットがありました。
また、当時2代目サニーには高性能モデルの「GX」がラインナップされ、若者から人気となっていたことから、チェリーもスポーティな「X-1」シリーズを追加。
なかでも上位グレードの「クーペ X-1R」には4輪にオーバーフェンダーが装備され、エンジンもSUツインキャブ仕様で最高出力80馬力を発揮しました。
しかし、FRが主流だった時代とあって、FF車のドライブフィールや、チェリー独特の運転姿勢やペダルレイアウトに違和感を覚えるユーザーが多かったといい、チェリーはサニーほどヒットせず、1974年に「チェリーF-II」へとモデルチェンジ。
チェリーF-IIではドライブフィールや運転姿勢などが改善され、1978年には後継車の初代「パルサー」が登場し、その後、日産の小型車はFFが主流となりました。
※ ※ ※
昭和の時代に誕生したクルマを掘り下げてみると、当時のエンジニアたちがトライ・アンド・エラーを繰り返してきたことが見えてきます。
現在はコンピューターを駆使してデザインや設計をおこない、シミューレーションや力学的な解析技術も飛躍的に向上しており、車体のモジュラー化によって開発費や時間も大幅に削減されました。
新型車の開発においてさまざまな部分が成熟しているといえますが、昭和のクルマの未完成な部分も、ある種の魅力ではないでしょうか。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。