増加する「道の駅」 なぜ東京は1つだけ? 120以上の北海道と異なる事情
日本全国に点在する「道の駅」は、観光拠点としても地域の情報発信基地としても人気です。年々、道の駅が増えているのには、どのような理由があるのでしょうか。
年々増加する「道の駅」いまでは全国1180か所が登録
ドライブに出かけたとき、「道の駅」に立ち寄ることがあります。最近では観光地に向かう前の休憩はもちろん、道の駅自体がドライブの目的地として人気があるようです。
1991年に試験的に実施され、1993年に正式に運用がスタートしました。制度がスタートした当初は103か所でしたが、2020年7月時点では全国に1180か所が国土交通省に登録されています。
とくに、1990年代後半から2000年代前半の「直売所ブーム」をきっかけに、その数が激増したといわれています。
急速に数を増やす道の駅とは、どのようなものなのでしょうか。
道の駅は、国土交通省(当時は建設省)が提唱したもので、道路利用者向けの「休憩」機能、施設利用者や周辺地域の住民のための「情報発信」、施設を核として地域の町同士が連携する「地域の連携」という3つの目的があります。
これらの目的を踏まえて、民間企業が作る商業施設ではなく、自治体が主体となって作った公共事業のひとつとされています。
何より注目されたのが、直売所による地域の経済効果です。主だった観光資源を持たない地方の自治体にとって、道の駅は地域活性化・地方創生の起爆剤として期待され、行政主導で数が増えたという側面があるのです。
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道の駅として登録するためには、いくつかの条件があります。
24時間無料で利用できる十分な台数が停められる駐車場と清潔なトイレ、子育て応援施設(ベビーコーナーなど)の常設に加え、道路情報や地域の観光情報、緊急医療情報などの情報発信機能と、地元の人が利用できる文化共用施設や観光レクリエーション機能などが併設されている必要があります。
とくに重要なのは、十分な台数が停められる駐車場や併設される文化共用施設のための敷地の確保です。
近隣住民にも迷惑がかからず、かつ施設を建設できる広さを確保できる敷地は、都心部や観光名所が多い地域では難しく、そのため全国の道の駅の約8割が中山間地域に設置されています。
47都道府県のなかで、道の駅がもっとも多いのは北海道の128か所、もっとも少ないのは東京都・八王子にある「八王子滝山」の1か所のみとなっています。
東京に道の駅が少ないということは、地価も高く十分な敷地を確保しにくい東京ならではの事情があるのでしょう。
また、東京に隣接する神奈川県の道の駅は4か所とやはり少ないのですが、こちらは横浜や湘南の海といった観光スポットがあり、道の駅がなくても地域の経済が活性化しているということもひとつの要因だといえます。
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