乗ってわかった「ウルス」がもっとも反逆のランボルギーニらしいワケとは?

「ウルス」誕生前から、常にランボルギーニのブランド戦略を身近で見てきた筆者が、ヴィンケルマンからドメニカリに代わって、ランボルギーニのカスタマーターゲットがどのように変化していったのか、ウルスを走らせながら考察する。

もはや、フェラーリは仮想的ではなくなった

 御殿場にて、「DRIVING EXPERIENCE AT THE WHEEL OF A LAMBORGHINI」が開催された。会場はリストランテ桜鏡。旧ミュゼオ御殿場といえば、クルマ好きの人ならピンとくる場所である。

 ミュゼオ御殿場といえば、「フェラーリ・ブランチ」が開催されていた跳ね馬の聖地としてよく知られている場所。そこに最新のファイティングブルがズラリと並ぶのであるから、かつてのフェラーリ・ブランチをよく知る人達からすれば隔世の感があるだろう。時代は変わったのだ。

 そもそもランボルギーニのイメージは、アウディ傘下になってから、それも2011年以降、大きく変化した。

新たなカスタマーを掘り起こしたウルス
新たなカスタマーを掘り起こしたウルス

 フェルッチオとエンツォの有名な逸話をいまさら持ち出すまでもなく、創業当初からランボルギーニはフェラーリと常に比較して語られてきた。つまり、ランボルギーニは1963年の創業当初から、フェラーリをハイ・カルチャーに喩えるならば、それに対するカウンター・カルチャーという存在だったのだ。

 カウンター・カルチャーである限り、フェラーリの真逆の立場を貫かねばならぬ。「洗練」に対して「武骨」に、「軟派」に対して「硬派」に、といった具合に。

 この「武骨」で「硬派」なイメージにエッジの効いた「ファッション」性を加味していったのが、前CEOヴィンケルマン時代だったといえるだろう。それまでのスーパーカー・オタクのメーカーからすべての男性が憧れるブランドへ、ランボルギーニは大きく変貌を遂げたのである。

 ただし、あくまでもランボルギーニは、「武骨」で「硬派」な「漢(おとこ)」の憧れであった。だから、この時期にイタリア空軍などとコラボしたり(「レヴェントン」など)、戦闘機をモチーフにしたコンセプトカー(創業50周年の際の「エゴイスト」)などを発表していたりする。男性は、子どもの頃から戦闘機に憧れるものだ。

 そしてドメニカリ氏がCEOになってからのランボルギーニは、こうした男性社会のなかだけの憧れ的存在から、ジェンダーの壁を取り除いたブランドへと、いままさに脱皮している途中なのだ。

 まず初めに、ラインナップの車名に変更が加えられている。それまでの「L=ロンジトゥディナーレ(縦置き)」+「P=ポストリオーレ(リアエンジン)」+「最高出力を示す3桁の数字」に「−(ダッシュ)」、そして最後に「駆動方式を示す数字」という長たらしい表記がなくなったのだ。

 たとえば、アヴェンタドール「LP700−4」となれば、アヴェンタドールは「縦置きリアエンジン、最高出力700ps、4輪駆動」であることが一目瞭然となる。このネーミングの約束が、ドメニカリ氏がCEOになってからなくなったのだ。

 アヴェンタドールであれば、わずかに「スペシャル」を意味する「S」や、「スーパーヴェローチェ」を意味する「SV」という文字が続くのみになった。

 これが意味するところは、一部のコアなマニアだけでなく、より広く親しみをもってもらいたいという狙いがある。そしてそれは女性をターゲットに見据えたと判断してよいだろう。実際に「ウラカン・ペルフォルマンテ・スパイダー」のイメージ映像では、これまでのように男性ではなく女性が運転するという設定になっている。

 さらに補足しておくと、ランボルギーニはラグジュアリーなライフスタイルを提案するブランドを目指している。オタクなスーパーカーメーカーから、洗練されたハイブランドへ。もちろん、クルマを製造することがメインとなるはずだが、スーパーヨット「テクノマール・フォー・ランボルギーニ63」など、その世界観はいま、さまざまな分野に広がりつつある。

 フェラーリのカウンター・カルチャーであったのは今は昔。ランボルギーニは、唯一無二のブランドへと成長し続けているのである。

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