なぜ突如「プリウス」低迷? 看板車が不調でもトヨタが安泰な理由とは

トヨタが2015年に発売した現行型「プリウス」の人気に陰りが生じています。2019年には登録車トップの販売(登録)台数を記録しましたが、近ごろはトップ10入も難しい状況です。いったいなぜなのでしょうか。

2019年の好調ぶりが一転 プリウスなぜ苦戦?

 最近は環境/燃費性能の優れたハイブリッドが人気です。今は日本国内で売られる小型/普通乗用車の約40%がハイブリッドで、メーカーによっては60%近くを占めます。

 そのハイブリッドの代表ともいえるトヨタ「プリウス」の人気に陰りが生じています。いったい、なぜなのでしょうか。

トヨタ「プリウス」
トヨタ「プリウス」

 初代プリウスは、1997年に世界初のハイブリッド量産乗用車として発売されています。その後、トヨタはハイブリッドの車種数を増やし、ほかのメーカーも同様に充実させました。

 プリウスは2009年に発売された3代目以降、売れ行きが目立って伸びました。2009年から2012年までは、プリウスが軽自動車を含めた国内販売の総合1位になっています。

 2013年以降はホンダ「N-BOX」が売れ行きを伸ばし、トヨタのハイブリッド専用コンパクトカー「アクア」も好調に売れましたが、2015年にプリウスがフルモデルチェンジを受けて現行型になると、国内販売の総合1位に返り咲きました。

 2017年以降の国内販売総合1位は一貫してN-BOXですが、小型/普通車に限るとプリウスが健闘しています。2017年と2019年は、プリウスが小型/普通車の1位でした(2018年は日産「ノート」)。

 ただし月別に見ると、2019年後半のプリウスは、人気に陰りが見られます。8月と9月の1位はトヨタ「シエンタ」、10月から12月は同年9月にフルモデルチェンジを受けたトヨタ「カローラ」が1位です。

 2020年には、2019年11月に登場したトヨタ「ライズ」が好調に売れて、1月と2月には1位になりました。

 3月はカローラですが、4月と5月はヤリス、6月はライズ、そして7月と8月はヤリスが首位です。

 このように最近の小型/普通車販売では、シエンタ、カローラ、ライズ、ヤリスという具合に、トヨタ車が交代で1位を獲得しています。

 ちなみに2020年1月から8月の販売統計を見ると、日本で売られたクルマの37%を軽自動車が占めました。ホンダもN-BOXのヒットで軽自動車の国内販売比率が50%を上まわり、日産も44%に達します。

 その結果、ホンダや日産では、小型/普通車の売れ行きが下がりました。逆にトヨタは軽自動車に注力していないので、小型/普通車市場のシェアが約50%に達します。小型/普通車の販売1位にトヨタ車が交代で入るのは、当然の成り行きです。

 この過程で気になるのがプリウスの販売動向です。2019年の中盤までは小型/普通車の1位でしたが、後半以降は急に下がりました。2019年はトップグループに入りましたが、2020年には脱落しています。

 ライズが1位になった2020年1月は、プリウスの売れ行きが前年に比べて24%下がり、日産セレナやホンダ「フリード」を下まわりました。小型/普通車の車名別順位でプリウスは7位です。

 2月は前年に比べて37%減り、順位はトヨタ「ルーミー」にも抜かれて9位。4月以降はコロナ禍の影響で国内販売全体が下がりましたが、プリウスの順位も変わりません。

 6月はトヨタ「ヴォクシー」に抜かれて11位、7月はトヨタ「RAV4」を下まわる14位、8月も13位です。

 7月以降の国内販売は、コロナ禍の影響も弱まって対前年比のマイナスは20%以下に収まりました。それでもプリウスは、7月が65%の大幅減少で、8月も50%減っています。

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