新型車は軽やSUVばかり!? セダンやワゴンの全面刷新が減少する事情とは

昨今の国産車は軽自動車やコンパクトカー、SUVが売れ筋で、多くの新型モデルが登場しています。その一方で、セダンやワゴンは新型車の登場が減っているのですが、なぜ偏りが生じるのでしょうか。

新型車が軽やSUVに偏っているのはなぜ?

 2019年以降に発売された国産車をカテゴリー別に見ると、軽自動車やコンパクトカー、SUVが多いです。

 軽自動車はダイハツ「タント」「タフト」、ホンダ「N-WGN」、スズキ「ハスラー」、コンパクトカーはトヨタ「ヤリス」、ホンダ「フィット」、SUVはトヨタ「RAV4」「ライズ」「ハリアー」「ヤリスクロス」、日産「キックス」、マツダ「CX-30」が登場しました。

国内の新型車は軽・SUVが多くを占めている
国内の新型車は軽・SUVが多くを占めている

 ミニバンも新型車は減りましたが、マイナーチェンジは定期的に実施されています。

 その一方で、セダンは車種数が豊富な割に新型車が減っています。

 2019年以降に発売されたセダンは、トヨタ「カローラ(セダン)」ホンダ「アコード」、マツダ「マツダ3セダン」程度です。

 貴重な5ナンバーセダンだったホンダ「グレイス」は先ごろ販売を終了し、トヨタ「マークX」もラインナップから削られました。

 ステーションワゴンは、セダン以上に車種数を減らしています。直近ではトヨタ「カローラツーリング」の発売に続いて、スバルも「レヴォーグ」の新型を披露しましたが、現在の国産ワゴンは、ホンダ「シャトル」、マツダ「マツダ6ワゴン」、継続生産型の「カローラフィールダー」を含めて5車種程度です。

 スポーツクーペでは、日産「フェアレディZ」の新型が披露されましたが、現行型の登場は2008年なのですでに12年を経過しています。

 日本には乗用車メーカーが8社ありますが、セダンを扱うのは5社、ワゴンは4社です。スポーツクーペは軽自動車を含めて意外に多く、6社が用意していますが、新型車は少ない状況です。

 なぜ近年の日本メーカーは、新型車をあまり発売しなったのでしょうか。また、セダンやワゴンの欠乏などカテゴリーにも偏りが生じている理由について、メーカーの商品企画担当者に尋ねました。

「いまは環境技術や自動運転の開発にも力を入れるため、以前に比べて車種数が減っています。とくにセダンとワゴンは、海外を含めて売れ行きが下がりました。逆にSUVは売れ筋のカテゴリーとして世界的に注目され、商品開発も活発です。そこで車種数を増やしています。いわゆる選択と集中です」

 国内と海外市場では、力の入れ方が異なる面もあるのではないでしょうか。この点も商品企画担当者に尋ねました。

「いまのグローバルに発展した日本車メーカーから見ると、国内は大切なホームグラウンドでありながら、市場の性格は特殊です。

 新車として売られるクルマの40%近くを占める軽自動車ですが、海外では販売できません。海外にも小さなクルマが中心の市場はあるのですが、衝突安全基準などの違いもあり、日本の軽自動車をそのまま海外で売るのは困難です。ミニバンも海外では少数派のカテゴリーだといえます。

 そうなると日本と海外の両方で堅調に売れるのは、コンパクトカーとコンパクト/ミドルサイズSUVだけです。とくにいまはSUVの人気が高く、日本で発売される新型車もSUVが中心になりました」

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