新型車は軽やSUVばかり!? セダンやワゴンの全面刷新が減少する事情とは
世界的なセダン需要低迷でフルモデルチェンジできない!?
かつてセダンは日本では一番の売れ筋カテゴリーでしたが、1990年代の中盤以降は、ミニバン/コンパクトカー/軽自動車が売れ行きを伸ばしました。
その結果、2000年代に入ると、新車販売台数に占めるセダンの比率は20%前後に減少。2010年には10%少々に下がり、いまでは約8%です。

そしてセダンの売れ行きと商品開発が滞っているのは、国内市場だけではありません。
たとえばレクサス「IS」は海外を中心に販売されますが、現行型を2013年に発売しながら、2020年秋に実施されるのはフルモデルチェンジではなくマイナーチェンジです。これはセダンの需要が下がったためです。
近年はプラットフォームなどの開発能力が高まり、マイナーチェンジでも以前に比べて走行安定性や乗り心地を大きく進化させられます。それでもフルモデルチェンジでないと商品力の向上には限界があります。
販売の低下を理由にフルモデルチェンジを先送りすると新鮮味が乏しくなり、ますます販売が落ち込む悪循環に陥ります。
とくにISのような上級セダンでは、最先端のクルマ造りをしているという話題性も大切な魅力ですから、6年以上を経過したらフルモデルチェンジをなるべく早く実施すべきでしょう。
それが無理な場合はマイナーチェンジになりますが、走行安定性、乗り心地、安全装備などに加えて、燃費を向上させることも大切です。マイナーチェンジでは、エンジンの完全な刷新と燃費の大幅な向上は難しいのです。
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昨今は、セダンやワゴンの売れ行きが海外でも落ち込み、先進技術の開発負担も加わって新車投入が滞っていますが、直近では変化も見られます。
前述の通りワゴンのレヴォーグ、スポーツクーペのフェアレディZやトヨタ「86」/スバル「BRZ」がフルモデルチェンジを予定しているからです。
硬直化していたカテゴリーに、新しい動きが見られるようになりました。この勢いを今後も持続して欲しいものです。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。


























