「エレノア」じゃない本物の「マスタング」のスペシャルモデル3選
フォード純正のマッスル「マスタング」とは
続いて1969年式のフォード「マスタングBOSS 302」を紹介しよう。前年までのマスタングと比較して、ボディはさらに大型化され、実用性を高めたのは1969年式の大きな特長のひとつだが、それによってエンジンルームのサイズもまた拡大されたことも忘れてはならない事実である。
なぜならそれによって、より大型の高性能エンジンを搭載することが可能になったからだ。
●1969 フォード「マスタング BOSS 302」
フォードがマスタングのセールスのために、モータースポーツをシェルビーに依頼したことはすでに触れたとおりだが、この新型ともいえる1969年式のマスタングにはフォード自身が高性能エンジンを搭載することができた。いわゆるBOSS 302とBOSS 429の2タイプのエンジンである。
価格は結果的にシェルビーGT350よりリーズナブルなものになったので、セールス面では特にBOSS 302は人気を集めることになった。ちなみにこのBOSS 302の5リッターエンジンは、当時のトランザムレースに参戦していたマシン直系のパワーユニットである。
RMサザビーズの調べによれば、1969年に生産されたBOSS 302はわずかに1628台。出品車はわずかに1万2500マイル(約2万km)を走行したのみのモデルで、290psのエンジンには、オプションの4速クロスミッションが組み合わされている。
注目の落札価格は7万7000ドル(邦貨換算約810万円)。そのコンディションを考えれば、価値ある買い物といえるかもしれない。
●1970 フォード「マスタング BOSS 302」
そして最後に紹介するのは、翌1970年のマスタングBOSS 302だ。モデルとしての内容は、すでに解説した1969年式のBOSS 302と同様である。ただし、4灯ヘッドライトから2灯ヘッドライトにするなどマイナーチェンジが施されている。
落札価格を決定するのはコンディションによるところが大きいが、こちらもまずまずの状態。マイナーチェンジ前のフェイスのほうが人気が高いのか、こちらは意外に入札が伸びずに、6万500ドル(邦貨換算約635万円)での落札となってしまった。
ただし、そろそろ貴重な存在になってきたBOSS 302を入手するには良い機会だったといえるだろう。
もしかするとアメリカン・マッスルのブームは、またこの日本にも訪れるのかもしれない。
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