広まる「プリウス式」シフトレバー レバーは不要? 全スイッチ化も起きる背景とは

AT車なのにマニュアル操作ができるクルマとは?

 世界初の量産ハイブリッド乗用車として1997年に発売された初代のトヨタ「プリウス」は、コラムシフトタイプのシフトレバーでした。

 しかし、2003年発売の2代目からは、Pレンジは別のボタンで独立して設定され、そのほかのレンジへのチェンジは指先で軽く操作ができる「エレクトロシフトマチック」が採用されました。

 操作の際には、手前下や手前上にレバーを動かしますが、手を離すと中央に戻るタイプで、どこに入っているかはメーターパネルなどの表示で確認します。これは、現行モデルまで踏襲されています。

 サイズやデザインこそ異なってくるものの、プリウスに準じた操作性を持つシフトレバーは、ほかのメーカーも採り入れています。

 ホンダのハイブリッド車もそうしたモデルが多いだけでなく、かつて販売されたマツダ「アクセラハイブリッド」も、専用シフトレバーを新規開発し、採用しています(アクセラハイブリッドは2019年に生産終了)。

 日産では、電気自動車の「リーフ」に丸いシフトレバーを採用。

 これは現行の2代目にも受け継がれているほか、ガソリンエンジンで発電するシリーズ式ハイブリッド車である「ノートe-POWER」にも採用されています。基本的な操作はプリウスと同様のタイプといえるでしょう。

 なぜこれらのクルマがこのようなコンパクトなシフトレバーにできるのかというと、エンジン車と異なりモーター駆動車は、基本的に前進/後進以外のギアの変速を設ける必要がないため、エンジン車の「1」、「2」や「L」などのレンジ、OD(オーバードライブ)スイッチもない、シンプルな構成にできることが背景として挙げられます。

 とはいえ、ハイブリッド車や電気自動車だから必ず小さなシフトレバーが採用さているわけではありません。

 トヨタでもハイブリッド専用車種の「アクア」は、一般的なガソリン車と同様に操作するシフトレバーを採用し、「カローラ」などハイブリッド車とガソリン車が選べる車種ではガソリン車と共通のシフトレバーが採用されている車種が見られます。

 反対に日産「セレナ」の場合、「e-POWER」モデルはプリウスなどと同様の比較的小さいレバー式、e-POWER車以外は上下にレバーを動かすタイプのインパネシフトとなっています。

 そして近年は、シフトレバーやノブそのものがないモデルも登場しています。

 国内仕様がハイブリッド専用車となった現行モデルのホンダ「アコード」は、「D」も「R」も「N」も、さらにはパーキングブレーキさえも、それぞれコンソール部に設けられたスイッチで操作する「エレクトリックギアセレクター」タイプです。

 この方式は2018年発売の「クラリティPHEV」などにも採用されました。

ホンダ「CR-V」はガソリン車(左)とハイブリッド車(右)でシフト方式が異なる
ホンダ「CR-V」はガソリン車(左)とハイブリッド車(右)でシフト方式が異なる

「CR-V」では、ガソリン車はシフトレバー式のインパネシフトですが、ハイブリッド車は同じ位置で「アコード」などと同様の「エレクトリックギアセレクター」になっています。

 CR-Vのエンジニアいわく、その理由は「最先端なイメージがあるから」。米国では上級モデルを中心に、このほかの車種でも「エレクトリックギアセレクター」を採用しているとのことです。

 また、2020年10月から発売されるホンダ初の量産電気自動車「ホンダe」も、同様の「エレクトリックギアセレクター」が採用され、今後、ホンダの電動車の主流となる可能性もあります。

※ ※ ※

 今後登場するモデルには、電気自動車やハイブリッド車はもちろん、通常のガソリン車の通常のATでも、小さなレバーやボタン式のシフト操作が主流になる可能性があります。

 すでに実現している先行車に続いて停止まで速度を自動調整するアダプティプクルーズコントロールでは、トランスミッションやパーキングブレーキを、すべて電子制御化しないと十分な制御ができないことも理由のひとつです。

 また、今後、完全な自動運転になるには、シフトレバーやハンドル操作も電子的な制御が進むことが前提となります。いずれ自動運転技術が発達すれば、物理的なシフトレバーのみならずハンドルさえもなくなってしまうのかもしれません。

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5件のコメント

  1. なんだ?この香水の容器みたいなシフトは!

  2. 途中にNがあるのが踏み間違いで暴走する根本原因だと思う。
    Nは別な独立したボタンにしているのが良いと思う。

    Nに築かずに踏んで動かないので ああぶれーき踏んでたと思ってしまうが実はそれアクセル
    次にNと気がついてDに入れたとたん急発進。でブレーキと思い込んでるのを踏んでさらに加速 みたいな

  3. 一般的にホンダのシフトはボタン式と言われてます。それにトヨタ式のシフトを採用してるメーカーは少ないですよ。
    色々おかしい記事ですね。

  4. ランドローバーのイヴォーク(初代)のダイヤル式とセレナeパワーのレバー式とを使い比べると、ダイヤル式のクリック感すなわち操作感が残るので誤操作(どの機能をクルマに指示しているのかの忘却)が少ないんじゃないかな。

  5. アクアに乗っていて平地でDにして、後ろに進んだことがあります。何度もレバーがDでシフトポジション表示もDを確認ました。シフトレバーってただのボタンなんでしょうか?電気的にシフトがDでも後ろに進む車は怖いです。

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