登場当時は大衆車だった!? メルセデス「Eクラス」の深くて長い歴史とは
Eクラスと呼ばれるのは1993年のW124型から
その大ヒットモデルであるW123型の後継が、1985年に誕生したW124シリーズだ。その直前となる1983年に、より小さい190シリーズ(190E)が登場したため、W124型はミディアムクラスと呼ばれることになり、車名に「E」が付く、「Eクラス」の初代モデルとなった。ちなみに、正式に「Eクラス」の称号が使われるようになるのは1993年からのことだ。

このモデルは、過去のメルセデス・ベンツの大衆モデルの伝統を色濃く継いだモデルであった。サイドミラーの調整は両方を電動にするのではなく、助手席側は電動にしつつも、運転手側は(手が届くだから)手動といった具合だ。華美なところはなく、質実剛健という言葉が似合った。実際に欧州ではタクシーに数多く採用されていたのだ。
ところが、1995年に登場した2代目EクラスのW210型は違った。当時として珍しかった4灯異形ヘッドランプを採用。四角四面の旧型との決別を印象付けたのだ。

実際に、W210型は下に「Cクラス」という弟分が誕生したこともあり、プレミアム感がアップしていた。「クラシック」「エレガンス」「アヴァンギャルド」という名称でデザインが装備を選べるグレード編成が導入されたのも、この世代のトピックだ。
また、EPSやトラクションコントロールなど、電子制御デバイスが次々に採用されたことも特徴だ。さらにAMGとのコラボレーションによる、ハイパフォーマンスモデルも定番化していた。
そうした、プレミアム&スポーティ指向は、その後のW211型(2002年~)、W212型(2009年~)、現行W213型(2016年~)でも継承されている。
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振り返ってみれば、Eクラスという名称が使われるまでのメルセデス・ベンツのミドルセダンは、先進技術をいち早く採用しながらも、どちらかといえば保守的な印象の強いクルマであった。価格は高いものの、質実剛健さが売りでもあったのだ。
しかし、Eクラスとなった後は、プレミアムカーとしての側面を強化。そして、それが受け入れられることで、現在のような高い人気を獲得することができたのだろう。
先進性と高い技術を上手に見せるプレミアムな演出。これこそが、最近のEクラスの成功の秘訣ではないだろうか。
Writer: 鈴木ケンイチ
1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。





















