居住性よりも見た目で勝負!? デザインを優先した軽自動車3選
軽自動車は、限られたボディサイズのなかで、いかに広い室内空間を確保することができるかが重要視されています。しかし、かつては居住性よりもスタイルに特化したかのような軽自動車が存在。そこで、デザインを優先した軽自動車を3車種ピックアップして紹介します。
見た目重視の軽自動車を振り返る
現在、国内の自動車市場でもっとも売れているクルマといえば軽自動車です。なかでも、全高が高いトール系ワゴンやハイト系ワゴンに人気が集中している状況となっています。
そうした軽自動車に共通するコンセプトとして、限られたボディサイズのなかで安全性を考慮しながら、いかに広い室内空間を確保するかが挙げられます。
しかし、かつては室内空間の広さよりも、スタイルを重視したような軽自動車が存在。そこで、デザインを優先した軽自動車を3車種ピックアップして紹介します。
●ダイハツ「リーザ」
1980年代から1990年代にかけて、ダイハツの主力商品は軽ボンネットバンの「ミラ」で、実用性やスペース効率が重視されていました。
それに対し、1986年にデビューしたダイハツ「リーザ」は、軽スペシャリティカーとして開発されたモデルで、外観は全高を低くしたクーペスタイルとされ、若い女性をターゲットユーザーに設定。
外観は小ぶりなキャビンのショートルーフにより、スタイリッシュなフォルムを実現し、「プライベート感覚」や「ファッション感覚」といった感性を重視したコンセプトとなっていました。
当時は、商用車登録のバンは軽自動車税などが優遇されていたことから、リーザもトップグレードは商用車登録です。
そのため、搭載されたエンジンは550cc直列3気筒ターボと自然吸気の2種類がありましたが、ターボエンジンはバンのみとなっています。
そして、1991年には派生車の「リーザスパイダー」を発売。軽自動車規格の変更により660ccとなったリーザをベースに、ルーフ部分をカットしてソフトトップを装着した、オープン2シーターに改造されたモデルでした。
しかし、リーザスパイダーの価格が145万3000円からと高額だったため、バルブ期とはいえ販売は苦戦を強いられ、いまでは幻のモデルです。
1993年にリーザは販売を終了し、新しい軽乗用車規格専用に開発された「オプティ」にバトンタッチしています。
●スズキ「セルボ」
スズキは1971年、ベーシックモデルの「フロンテ」をベースに、日本初の本格的な軽スポーツカーの「フロンテクーペ」を発売。
高性能な360ccエンジンを搭載していたフロンテクーペですが、軽自動車規格の変更と排出ガス規制の強化もあって1976年に販売を終了します。
そして1977年にフロンテクーペのコンセプトを受け継ぎ、新規格に対応したRRのスポーツモデルとして「セルボ」が発売されました。しかし、550ccの2サイクルエンジンを搭載していたことで、排出ガス規制の強化によって次世代モデルに移行します。
そして、1982年に発売されたのが、すべてが刷新されてFFとなった2代目セルボです。
2代目セルボは初代「アルト」をベースに開発されたため、フロント部分はアルトに酷似していましたが、ボディはファストバックスタイルの2ドアクーペとされました。
発売当初に搭載されたエンジンは、29馬力の550cc4サイクル直列3気筒自然吸気のみで、1983年のマイナーチェンジで40馬力を誇るターボ車が追加ラインナップ。
スタイリッシュなフォルムの軽スペシャリティカーとして、2代目セルボは個性的な存在でしたが、1988年に3代目へとモデルチェンジされると、クーペからワゴンタイプのボディへと一新。さらに4代目ではオーソドックスな2BOXスタイルを採用しています。
なお、1983年には2代目セルボをベースにした、2シーターのピックアップトラック「マイティボーイ」が登場。荷台部分に樹脂製のカバーが設定され、見た目がセルボのようなクーペにもなるユニークなトラックとして話題となりました。