エンジンの「自然吸気」や「ターボ」ってなんのこと? パワーや燃費はどう違う?

燃費やレスポンスの悪さなど過給機の弱点は過去のもの?

 過給機付きエンジンのメリットは、同排気量の自然吸気エンジンより高出力を得られることです。しかし、その一方でデメリットも存在します。

国産車では珍しいスーパーチャージャーを搭載する日産「ノート DIG-S」
国産車では珍しいスーパーチャージャーを搭載する日産「ノート DIG-S」

 過給機付きエンジンは、自然吸気エンジンより大量の空気をシリンダー内へと送り込みます。

 とはいえ、送り込まれるのは空気だけではなく燃料も含んだ混合気で、この混合気には「理論空燃比」というものがあり、排ガス対策と出力の兼ね合いから理想とされる空気と燃料の比率があるのです。

 そのため空気ばかりを増やすわけにもいかず、比率が大きく変わらないよう燃料も同じように増量する必要があります。

 つまり、どうしても燃料の消費量が多くなる=燃費が悪くなってしまうという欠点があるのです。

 排出ガスの流れを利用して過給するターボは、羽根車を回すには強い排出ガスの流れが必要で、ある程度エンジンの回転数が上がらないと性能をフルに発揮できません。

 そのためアクセルの踏み始めは思ったようにパワーが出ず、レスポンスが悪いと評されることもあります。

 一方スーパーチャージャーは、エンジンの出力が動力源ゆえエンジンをかけた瞬間から駆動します。そのため低回転から過給されレスポンスは上々です。

 ただ、エンジンの出力を過給に使う分、機械的な損失=パワーロスがあり、高回転になればなるほどロスが大きくなることからターボほどのハイパワーは望めないという特徴があります。

 維持の面で過給機付きエンジンならではの注意点について、都内の整備工場に勤める整備士Sさんに聞いてみました。

「ターボは自然吸気に比べてどうしても部品点数が多くなるので、それだけトラブルの可能性は増えます。

 ターボは800℃を超す超高温な排出ガスを利用するのでさまざまな箇所に負担がかかるのですが、その最たる部分がタービン(羽根車)の軸受けです。ここの潤滑油にはエンジンオイルが使用されているので、オイル管理が大事です。

 スーパーチャージャーも軸受けがダメになるケースはありますが、こちらはエンジンオイルの流用ではなく専用のスーパーチャージャーオイルが潤滑油です。交換不要としている車種も多いですが、シールなどの劣化から漏れてしまうこともあるので定期的な点検は必須です」

※ ※ ※

 レスポンスと燃費を重視するなら自然吸気、マックスパワーを求めるならターボ、スーパーチャージャーはその中間といったところでしょう

 過給機付きエンジンの最大の弱点とされる燃費についても、近年は高効率で過給機を作動させるのに向いている直噴エンジンが主流となり、むしろ燃費のためにターボを装着する流れもあるほど改善されています。

 また、レスポンスについてもタービンの材質や形状の見直しにより大きく向上しているなど、デメリットはほとんど解消されてきています。

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Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ

2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。

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