メリットあったのに「センターメーター」なぜ廃れた? 初代「プリウス」から普及するも最新モデルは“運転席前”へ移動! 廃止が相次ぐ意外な事情とは?
初代「プリウス」から採用が始まった「センターメーター」ですが、一時期はさまざまな車種で採用されたものの、近年はその数を減らしており、運転席前の通常の位置に配置されることがほとんどです。なぜセンターメーターはなぜ衰退したのでしょうか。
「センターメーター」なぜ廃止されるのか?
スピードメーターなどの計器類をダッシュボードの中央に配置する、いわゆる「センターメーター」自体は古くから存在していました。
国産車としては1997年に登場したトヨタ初代「プリウス」が採用して以降、多くの車種で採用されています。
実際にトヨタ「ヴィッツ」やダイハツ「タント」といった実用的なモデルから、日産ではスポーツセダンの「プリメーラ」(3代目)、クロスオーバーSUVの「エクストレイル」(初代)、ミニバンの「プレサージュ」(2代目前期)など幅広い車種に採用されたのです。
しかし近年ではセンターメーターの採用車種は減少の一途をたどっており、先駆者であったプリウスも4代目モデルまで採用し続けていたセンターメーターを、2023年に登場した現行型(5代目)ではついに廃止しました。
そんな紆余曲折のセンターメーターですが、採用されたメリットにはどのようなことがあったのか、また近年はなぜ廃れてしまったのでしょうか。
センターメーターのメリットとしては、運転中にスピードメーターなどの計器類をチェックする際、視線移動が少なくて済むために安全性が高いという点が挙げられます。
運転中に前方を見る時、ダッシュボード中央辺りを目線が通るため、そこからわずかに視線を下げるだけでメーターが確認できるセンターメーターは有利というワケです。
また、メーターをセンターに配置すると、ダッシュボードの形状を左右対称にすることが可能。ハンドル位置によって大きくダッシュボードを作り替える必要がなくなり、輸出仕様の生産コストを抑えられるというメリットも存在していました。
一見するとメリットしかないように思えるセンターメーターですが、廃れつつある理由の最も大きなものとして挙げられるのが、車載ディスプレイの台頭です。
ナビゲーションなどが広く普及していなかった1990年代前半辺りまでは、オーディオスペースはダッシュボードの下のほうに位置していましたが、ナビが普及するにつれてオーディオスペースはダッシュボードも上部に移ってきました。
そして現在では標準でディスプレイを備える車種も増えてきて、そのディスプレイにはナビのほか、車両情報や設定なども表示されるようになり、視線を送る頻度がメーターよりも格段に高まっています。
そのため、一等地とも言えるダッシュボード中央上部にはメーターではなくディスプレイが陣取るようになったことにより、メーターはダッシュボードセンターではなく、運転席の前という通常の位置に戻されたというワケなのです。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。
目線移動で考えると実際そうでもなかったんじゃないかな?ダッシュボード中央を経る視線だと主な視界の先は左前の歩道・路側帯になってしまいかねない。視線の上下動だけで言えば確かにセンターメーターの方がいいけど何十年も運転してきた慣れや教習車でも恐らくセンターメーターになってるのは少ないから、人間工学的にセンターがいいとなっても経験者から初心者まで運転席前のメーターが当たり前に染み付いてる。
そして人間工学も年々アップデートされていくからその中で否定されたのかもしれない。ヘッドアップディスプレイがその好例。
どうしてもセンターへの視線集中がいいと言うなら最新のHUDはセンターに持っていけばいい。けどHUDは運転席前が当たり前になってる。
こう考えるとセンターメーター自体が持つメリットも圧倒的な物ではなく懐疑的レベルに思えてくる。
勿論当時の考えでは最先端を行っていただろうから否定はしないけど、最先端を塗り替えていく事が新しい最先端に繋がるからね。
>視界の先は左前の歩道・路側帯になってしまいかねない。
まさか普段みないのですか?
左前の歩道・路側帯って、警戒しないとアカンからよく見る場所だが。
見てるけど決して中心視野ではない。中心視野としてダッシュボード中央から先の歩道を見てしまっては運転にならない。
勿論前方の車に置いたり歩道側に置いたりミラーや標識に置いたり視線はその時々で変わるが、自動車専用道路とかもあるし何だかんだ考えたらさほどメリットにはならないとなったのかと思う。
売り手からしたらグローバルでセンターメーターにするのは記事の通り収益面で大きなメリットになる。でも殆どを運転席前に戻した。ナビや操作パネル類の大型化もあるが、やはり中心視野と周辺視野で考えたら運転席前と言うのが今の人間工学的には正解になったのだと思う。
センターメーターにする事で運転手の基本の視野範囲がセンターを軸として縦方向にしか見なくなってサイドミラーや目視の視線移動をしなくなる。と言う考え方も一つ成り立つだろう。
縦方向の視線移動の楽さを求めたら、近い将来人間は横方向の視線移動に気を配らなくなる可能性もある。運転が上手い下手ではなく、機能が浸透していくにつれてこう言った運転が増えていくのも想像がつく。
これを自動車メーカーが主体となって作り上げたとはしたくないだろうから、目先の利益よりも運転席前メーターに戻した。
今後数十年先を見据えたらまた新しい最先端になるかもしれないが、運転席前と言うのはそう簡単に変わらないと思う。
センターメーターの車って大概は其処にスマホやらのモバイル機器をやたら取り付けてるのがいる。前方視界を隔てる様に取り付けてるのもけっこうある。蓋付きの物入れになっているのはその蓋を開けた状態で使っているので完全に車両前直近視界は無いだろう。結局ろくな事にならない。
視線移動が少ないとか多いとかそんなに意味あるのかな?
運転中は、左右のサイドミラーもみるけど、そっちのほうがはるかに視線移動距離おおいが、それを気にしている人がいるともおもえないんだけどね。
もしかして、運転中は、左右のサイドミラーをほとんどみない(たとえば「強引に隣りの車線に割込む時しか見ない!」)人達なのかな?
視線移動では無く焦点距離だった様に記憶しているが。前方視界の範囲であれば正面の方が近いが焦点が近い。センターであれば多少は距離が稼げる、ということだったかと。
まぁ、ヘッドアップディスプレイが多様化しているのもありそうですが。コレの方が自然に視界に入るし。
右ハンドルでも左ハンドルでも使えるメリットがあるからと聞いていた。つまり効率的理由。
視線移動が少ないとか焦点距離とかは単なる方便で
主な採用理由は生産都合、コスト削減でしょ