「ソレ・タコ・デュアル」って何かの呪文!? 昭和世代なら知っているクルマ用語とは

技術の進化で消えたものだけでなく法規制で消えたものも

●「チョーク」

 キャブレターが使われなくなると同時に、やはり他の言葉も消えていった。それが「チョーク」だ。

1970年製ボルボ「122Sアマゾン」のインパネ。ハンドルの奥にチョークがある
1970年製ボルボ「122Sアマゾン」のインパネ。ハンドルの奥にチョークがある

 キャブレターを使っていたクルマは、基本的に燃料と空気の混合具合は一定となる。しかし、比率によっては気温が低いときにエンジン始動がしにくくなるときもある。

 そこでチョークという機構を使って混合比率を変化させ、エンジン始動性をアップさせるのだ。ちなみに、パワーを重視したスポーツカー用のエンジンは始動性が悪く、エンジンをかけるために独特の手順を踏む必要のあるものも存在した。

 そうした手順を高性能車ならではの作法と見て、ありがたがる向きもかつてはあった。しかし、混合比を機械的に自動で調整するオートチョークが普及していくにつれ、チョークの存在感は薄れてゆく。そして電子制御化の結果、完全にチョークという言葉は消えていったのだ。

●「リトラクタブルヘッドライト」

 技術の進化ではなく、法規制の変化で消えていった言葉もある。そのひとつが「リトラクタブルヘッドライト」だ。

1974年登場のランボルギーニ「カウンタック」。リトラクタブルヘッドライトは、スーパーカーブーム世代の憧れだった
1974年登場のランボルギーニ「カウンタック」。リトラクタブルヘッドライトは、スーパーカーブーム世代の憧れだった

 これは、引っ込める(リトラクタブル)ことのできるヘッドライトのこと。日本語的にいえば「収納式前照灯」となる。日中など、必要ないときはフェンダーやフロントグリル内に引っ込めて収納することのできるヘッドライトのことだ。

 空力性能に優れるだけでなく、デザイン性にも貢献するということで、1960年代から1980年代のフェラーリやランボルギーニなど、数多くのスーパーカーに採用された。

 もちろん、日本車でもトヨタ「2000GT」をはじめスポーティモデルにも数多く採用された。1990年代までは、スポーツカーのカッコ良さを盛り立てる重要なアイテムのひとつであったのだ。

 しかし、安全性や重量増などの問題もあって、2000年ごろから法規制で禁止される国が増え、今ではすっかり絶滅することになってしまった。

※ ※ ※

 他にも、技術の進化や法制度や流行の変化によって、消えた自動車用語は数多く存在する。

 いま現在、盛んに使われている用語も、いつかは消え失せてしまう可能性もあるのだ。次に消えてしまう言葉は、いったい何であろうか。そうしたことを予想するのも、またクルマの楽しみのひとつではなかろうか。

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Writer: 鈴木ケンイチ

1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。

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