“ぶつからないクルマ”はどう進化? 新型レヴォーグに搭載される「アイサイトX」を試した
2020年10月に発表が予定されている注目のモデルがスバル新型「レヴォーグ」だ。そのレヴォーグに搭載される先進運転支援システム「アイサイトX」は、次世代のADASとして注目される。その最新アイサイトはどう進化したのか。テストコースで試してみた。
10月に発売予定の新型「レヴォーグ」に搭載の最新アイサイトX
スバルの先進安全装備といえば「EyeSight (アイサイト)」だ。
2008年に「レガシィ」シリーズに初搭載されて以来、「ぶつからないクルマ?」のCMとともに先進運転支援システム(ADAS)普及のきっかけをつくった。
そのアイサイトが、Ver.3へと進化を遂げたのは2014年のこと。それから6年が経ち、次世代アイサイトの登場に期待がかかっていたが、ついに今年10月に発表される予定の新型「レヴォーグ」でVer.4ともいえる「アイサイトX」が搭載されることになった。
その実力を正式デビュー前に試乗したプロトタイプで体験した。
アイサイトXで注目すべきは、システムの基本となるステレオカメラを一新したことだ。従来の日立製からスウェーデンのVeoneer(ヴィオニア)製に切り替わり、カメラの画角を約2倍にまで広げて歩行者や自転車などに対する検知範囲を大幅に広げている。
さらに車両の四隅には、前方に77GHzミリ波レーダーを、後方には24GHzのマイクロ波レーダーを装備し、カメラで見えない前側方から近づいてくる車両の検知も可能にした。ただ、前方の検知にはミリ波は使わず、従来どおりアイサイトのみでおこなっている。
見逃せないのが3D高精度マップの採用だ。準天頂衛星「みちびき」からの高精度GPS情報を組み合わせることで、地図情報に基づいた詳細な制御をサポートする。
ちなみにこの地図の採用は、日産「スカイライン」が搭載したプロパイロット2.0に続く2例目だ。このアイサイトXの装備はベースグレードからプラス35万円で装備できる予定で、これはスバルがグレードで安全装備に差を付けない基本姿勢を踏襲するものだ。
このアイサイトXによって実現できた機能は数多いが、なかでもインパクトのある機能が「渋滞時ハンズオフアシスト」だ。
この機能は高速道路走行中、時速50km/h未満の速度域で可能となるもので、ドライバーが正面を見ていることを条件に、ステアリングから完全に手を離しても、車両は先行車に自動追従する。このモード時は停止と発進を繰り返す渋滞でもスイッチ操作なしに追従でき、渋滞時のドライバーに対する疲労軽減に役立つという。
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では早速、「渋滞時ハンズオフアシスト」を試してみる。試乗はテストコース内でおこない、先行車はスバル側で用意してもらった。
このモードに入るには従来と同じく、ツーリングアシストによるACCモードで走行するようにしておくことが必要だ。ステアリングにある「アイサイトX」スイッチを押し、システムが起動すると、メーター内のアイコンがホワイトからグリーンに変わり、準備が整った。
このまま追従走行して先行車が50km/h未満まで減速すると、自車もその速度に合わせて減速したところでアイコンはブルーに切り替わる。これで渋滞時ハンズオフアシストのモードに入った。
その後は停止からの発進も先行車に続いておこなう。従来のようにスイッチを押したり、アクセルを踏む必要は一切ない。試乗ではこれを繰り返して体験したが、何の違和感もなくスムーズに渋滞走行を繰り返した。
ただしこの動作をしているとき、ドライバーは前方から視線を大きくそらしてはいけない。ダッシュボード中央にある赤外線センサーが目の動きを監視していて、ドライバーが前方を見ていないと判断すると、この動作は中止されてしまう。
つまり、このシステムはあくまで自動運転「レベル2」の範疇にあり、運転中の責任はドライバーにあることを前提としているのだ。
そんな状態でハンズオフのメリットはあるのか? と最初は疑問に思ったが、実際に体験をするとステアリングを握っていなくても済むことの解放感は想像以上に大きかった。これが長時間にわたる渋滞では、その狙いどおり疲労度は大きく違ってくるのではないかと思った次第だ。
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