超ド級!? レクサス新型「IS」は予想以上の進化? 3つの走りの違い
3つのパワートレイン、進化したISで異なる3つの魅力
今回の試乗車は3台。3.5リッターV型6気筒エンジンを搭載する「IS350」、2.5リッター直列4気筒エンジン+モーターを組み合わせたハイブリッド車「IS300h」、そして2.0リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載する「IS300」です。
すべてAVS(電子制御サスペンション)と前後異形タイヤ(フロント:235/40R19、リア:265/35R19)装着の「Fスポーツ」です。
その走りは見た目と同じで「激変レベル」といっていいです。具体的にはグリップバランスが適正化され前後バランスが適正化されたことで、クルマの動きに連続性が増し一体感が増しました。
さらに、足を綺麗に動かすセットアップにより、ドライバーの操作で弱アンダーから弱オーバーまで自在性が増したこと、そのときの動きも唐突ではなくジワーッと流れるような懐の深いコントロール性を手に入れたことなど、「FRの旨み」をより実感できるようなハンドリングに仕上がっています。
今回はサーキット試乗なので快適性は断言はできませんが、縁石をまたいだ印象から推測すると、良さそうな予感。このあたりは一般公道を走ってから判断したいところです。
これらの印象は「後輪駆動だから当たり前でしょう」という人もいますが、従来モデルはクイックに動く、ロールを抑えるなど見せかけのスポーティさはありました。
しかし、ペースを上げていくと「おまえはFFか!!」と感じるアンダーステアと、ドライバーの操作には反応しないのに意図しないテールスライドが起きるなど、FRでありながらもFRらしさを感じにくかったことを思うと、新型はまさに別のクルマといってもいいかもしれません。
このあたりは車体(サイドラジエターサポートの補強やフロントメンバーのスポット打点追加、Cピラーからルーフサイドにかけての構造最適化)とサスペンション周り(アルミ製ロアアーム、19インチタイヤ、ハブボルト式のホイール締結)のアップデートが大きく効いているようです。
このことについて、小林氏は次のように語っています。
「下山テストコースで鍛えたことも大きいです。このコースはアンジュレーションが大きいので、足を綺麗に動かさないと通用しません。
ただ、動かすようにすると別の悪さも出るので、それらをひとつひとつ改善していった結果が、今回のISの走りになります」
実は従来モデルのIS350 Fスポーツに採用のLDH(ギア比可変ステアリング/EPS/DRSを統合制御したシステム)が廃止されましたが、これは基本性能アップから「制御に頼る必要なし」という判断だそうです。
ちなみにパワートレイン違いで走りの印象は若干異なり、軽快で前後バランスがもっとも優れる2リッターターボ、全般的に安定傾向なハイブリッド、若干フロントベビーですがパワーとシャシのバランスが優れる3.5リッターV型6気筒といった、異なる印象でしたが、個人的には「ISらしさ」がもっとも色濃く表れていたのは2リッターターボだと感じました。
ただ、欲をいうとシャシの進化に対してエンジンのプラスαが欲しいのも事実で、300馬力くらいに出力アップした「IS400」があるといいなと思いました。
走りの面でひとつ残念だったのは、多岐に渡る進化のなかで従来モデルと変わらなかった曖昧でルーズなステア系です。
システムが古いので緻密な制御ができないことが原因のようですが、ここが最新モデルのようにスッキリしたフィールや直結感が出ると、クルマとの対話性がより増すと思います。
正直いうと、いくら走りに手を入れたといっても限界があるかなと思っていましたが、いい意味で裏切られた感じです。
「知り尽くしたリソース」と「TNGAの知見」を融合させることで「1+1=3」になった気がしました。
そういう意味では、今回大幅に改良されたISを選ぶ意味が大きく増したと思っています。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
「アダプティブハイビームではなくオートハイビームであること」
本音を代弁すれば
アメリカでは法規制が依然として古くアダプティブハイビームの使用が認められてないので、
北米向け輸出がメインであと数年の延命の為のデザインチェンジなので
今回のISにアダプティブハイビームを設計上組み入れる事は念頭になかったんだと思います。