コロナの影響がクラシックカーに波及!? フェラーリ「275GTB」の落札価格に異変あり

2億円超えは当たり前だったフェラーリ「275GTB」とは

 それまでの「250GT」の後継車として、1964年のパリ・サロンで275GTBは誕生した。

 スタンダードなボディのほかに、いわゆるロングノーズ仕様も1965年には登場し、それによって空力も大幅に改善されている。

●FRを貫いたフェラーリ

ロングノーズ&アロイボディ仕様の「275GTB」でも、予想落札価格に届くことはなかった(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
ロングノーズ&アロイボディ仕様の「275GTB」でも、予想落札価格に届くことはなかった(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 ライバルのランボルギーニは、すでにV型12気筒ミッドシップの時代を迎えようとしていたが、フェラーリは頑なにフロントエンジンに固執。実際にはこの275シリーズの後継である「365GTB/4」(デイトナ)まで、フロントエンジンの時代は継続することになる。

 とはいえ、275GTBに技術的な革新がなかったわけではない。例えば出品車の3.3リッターV型12気筒エンジンは3キャブレター仕様で280psを絞り出していた。

 さらにカスタマーが6キャブレター仕様を望めば、20psアップの300psというパワーを275GTBに与えることもできた。

 このエンジンに組み合わされる5速MTは、デファレンシャルとともにリアに搭載するトランスアクスル方式だが、今回出品されたS/N:08193には、後に4カムのGTB/4で採用されたトルクチューブとCVジョイントが与えられている。

 実際にオンラインで見るS/N:08193のコンディションは、いわゆるコンクール・コンディションというものではないが、適度な走行感があって逆にそのままドライブを楽しむにも、これからレストアを始めるにも、最適といえるコンディションのようにも思える。

 しかしながらオークションの結果は、前で報告したとおり最低落札価格に大きく届かなかった。

 ちなみにRMサザビーズの次回のビッグ・セールである8月のペブルビーチ・オークションも、今年はオンラインでの開催となる。フェラーリの相場はこのまま下がり続けるのか、あるいは一時的な落ち込みで止まるのか。その結果に大いに注目したい。

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