ソニーは「第2のテスラ」になれるのか!? ソニー製のEVが東京で公道走行開始へ

ソニーは2020年7月27日、東京都内で電気自動車(EV)の試作モデル、「VISION-S」を公開した。2020年度中に日本の公道で走行実験を予定しているという。現時点では販売の計画はないというが、現時点での作り込みを見ると、すぐにでも市販化されてもおかしくないレベルだ。ソニーは「第2のテスラ」になることができるのだろうか。

家電メーカーが自動車メーカーになる可能性はあるのか

「ソニーがEVのコンセプトカーを発表した」と聞けば、誰もが「ソニーがEVで自動車事業に参入するのか?」と疑問に思うはずだ。世界を見渡せば、テスラという成功例もある。

「VISION-S Prototype」とは、ソニーが2020年1月のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で発表したコンセプトカーだ
「VISION-S Prototype」とは、ソニーが2020年1月のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で発表したコンセプトカーだ

 ほんの数年前までは「EVは、エンジン車と違って部品数が少ないから参入は簡単だ」という意見もあった。

 しかし、リアルなところでは、2019年のダイソンのEV事業からの撤退があり、かつてあったアップルやグーグルの自動車参入の噂も、現在では、さっぱり耳にしなくなった。

 ヤマハが、何度もコンセプトカーを発表しつつも、結局は、自前のクルマの発売はおこなっていない。つまり、テスラという成功はあるものの、それ以外は死屍累々。自動車事業への参入は甘くないというのが、常識ではないだろうか。

 しかし、ソニーは「参入しない」とは言っていない。

 じつは春先にソニーの開発担当者にVISION-Sの話を聞く機会があった。

 その話の端々からは「クルマの開発の大変さは重々承知」という慎重さが伝わってきた。しかし、センサーなどのサプライヤーになるためならば、わざわざ生産能力のあるマグナ・シュタイア社と組む必要はない。

 そういう意味では、ソニーはVISION-Sの開発を通して自動車事業の限界をサプライヤーと決めつけるのではなく、どこまでできるのかを見極めようとしているのではないだろうか。

※ ※ ※

 ひとことで自動車事業といっても、意外と幅はある。自前でディーラー網を作って、新しくできたEVを乗用車として顧客に売る、というビジネスモデルだけではない。ゴルフ場向けのカートという選択肢もあるし、それこそシェアリング用の超小型EVという手もある。売り切りの乗用車だけではないのだ。

 ソニーという会社は、これまで数多くの「世にないもの」を生み出してきた企業だ。できればVISION-Sの学びから、そうしたソニーらしい、あっと驚く新しいモビリティを生み出してほしいものだ。

 そんな期待を抱けるのもソニーだからだろう。

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