第2世代ランエボの完成形! 三菱「ランサーエボリューションVI」とは?

WRC(世界ラリー選手権)で数々の勝利を飾った三菱「ランサーエボリューション(以下、ランエボ)」。ベース車両譲りのコンパクトなセダンボディに圧倒的なパワーを誇るターボエンジンと先進の4WDを搭載したモンスターマシンです。第2世代の完成形となる「ランサーエボリューションVI」を紹介します。

さらなる熟成と信頼性の向上が図られた「エボVI」

 ひとクラス大きい「ギャランVR-4」の心臓部と、コンパクトな「ランサー」のボディを組み合わせて誕生した「ランサーエボリューション」。すべてはWRC(世界ラリー選手権)で活躍するためというピュアスポーツ4WDセダンです。

 1992年の初代から2016年の10代目まで生産されましたが、その魅力が再認識されて人気が再熱しています。第2世代へと進化した「エボ」シリーズの完成形ともいえる、「ランサーエボリューションVI」について紹介します。

1999年に登場した三菱「ランサーエボリューションVI」
1999年に登場した三菱「ランサーエボリューションVI」

 1995年にベースとなるランサーがフルモデルチェンジしたため、第2世代へと進化したランエボ。1996年の「エボIV」、1998年の「エボV」に続き、1999年にさらに各部が熟成された「エボVI」が誕生しました。第2世代の集大成ともいえるモンスターです。

 先代にあたるエボVが、オーバーフェンダー装着などで3ナンバーとなるワイドボディへと発展。これはWRCによる新規定を受けてのものでしたが、これによりコーナリング性能のさらなる向上と、強力な制動力を誇るブレーキの装着が可能となりました。

 そしてエボVIは、トレッドの拡大によるワイドボディでのアドバンテージをさらに活かす改良が施され、さらに戦闘力と信頼性の向上が図られています。

 ボディサイズは全長4350mm×全幅1770mm×全高1415mm(GSR)とエボVとまったく同じですが、WRCのレギュレーション変更(空力パーツのサイズ制限)に対応させながら、空力性能とおもに冷却性能の向上による信頼性のアップを図る改良がおこなわれています。

 外観的には、フロントリフトアップ抑制のためにナンバープレート位置変更、フロントバンパーにオイルクーラーベンチレーターやエアブローダクトの増設、フォグランプの小型化、ウィッカ型迎角可変ツインリアスポイラーの採用などがおもな変更点です。

 もちろんメカニズムにも手が加えられており、4G63型2リッターターボエンジンには、エンジンオイルクーラーを大型化させ、吸気入口の径を拡大することで高回転域での効率をアップさせた改良が施されています。ちなみにミッションは5速MTのみとなっています。

 足まわりは基本的にエボVを踏襲し、フロントには倒立タイプのストラットを、リアにはマルチリンク式を採用。225/45R17のタイヤサイズも同じですが、エボVI用に新デザインのOZ製ホイールを装着しています。

 このエボVIもほかのランエボ同様、競技向けの「RS」と公道用の「GSR」のグレードが用意されましたが、一般道では硬すぎるといわれたサスペンションに手を加えて乗り心地をアップさせた「GSR」に対し、「RS」のセッティングは硬派なエボVと同じで、さらに世界初となるチタンアルミ合金製タービンホイールを採用。ターボエンジンの高回転域での性能を向上させるなど、グレードによるキャラクター分けがおこなわれています。

 WRCでは、1999年の第1戦から2001年の第10戦まで全38戦に投入されましたが、1999年度は5勝を記録し、エースドライバーのトミー・マキネン選手が4年連続でドライバーズチャンピオンに輝く偉業を達成しています。

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