7500万円で落札! メルセデスとマクラーレンの最強コラボ「SLR」とは

最低落札価格は2億3600万円! 世界に75台限定のスペシャルSLRとは?

 続いて登場したSLRマクラーレンは、ロードスター722Sから約半年後の2009年のNAIAS(デトロイト・ショー)でサプライズ・デビューを飾ったSLRシリーズのラストモデル、「SLRスターリング・モス」だ。1950年代からメルセデス・ベンツに数々の勝利をもたらした、サー・スターリング・モスの名前は、レースの世界に詳しくない人でも何度かは耳にしたことがあるはずだ。

メルセデス・ベンツ「SLRマクラーレン・スターリング・モス」は、75台限定の希少モデルだ(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
メルセデス・ベンツ「SLRマクラーレン・スターリング・モス」は、75台限定の希少モデルだ(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 デトロイト・ショーに姿を現したSLRスターリング・モスを前に、ゲストをもっとも驚かせたのは、これまでのSLRシリーズから大きくその雰囲気を変えたエクステリア・デザインであった。

 メルセデス・ベンツは、実際にモスによってデザインされた「300SLR」から、さまざまなモチーフを受け継いでいる。たとえばシート後方に独立して装備されるロールバーの機能を兼ねたエアスクープや、フロントフェンダーからドアにかけてのエアアウトレットに見られる彫刻的なデザインなどがそうだ。

 フロントウインドウは装備されないが、その代わりにコンパクトなレーシングスクリーンがフィットされる。着座位置が低いため、これでも十分に効果を発揮するというのだが、それを知ることができるのは、わずか75人に限られたオーナーのみである。

 メカニズムの内容は、基本的にはそれまでのSLRシリーズの進化の延長線上にある。5.4リッター仕様のV型8気筒スーパーチャージャーエンジンの最高出力は650psだ。これで0−100km/h加速3.5秒、最高速は350km/hを実現する。

 ちなみにリアの可変式ウイングは、制動時にはエアブレーキとしての機能も兼ねる。

 ロードスター722Sの150台のさらに半分。生産台数がわすかに75台となるSLRスターリング・モス。今回のオークション出品車は、2019年12月に出荷された後、中東にわたり、以後9000kmを走行したのみの個体だ。

 オリジナルのトノカバーやバッグ、ゴーグル等々の装備はすべて揃っている。さらに2020年2月に、ブリュッセルのディーラーで完全な点検を受けている。

 RMサザビーズによる予想落札価格は190万−220万ユーロ(約2億3600万円−2億7400万円)。現在の段階で入札価格は、最低落札価格に達していない。最後のSLRを購入できるチャンスは、まだ残っている。

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