ゴミ収集車の内部はどうなっている? どんな物でも飲み込む箱の謎とは

特装車はなぜ専用メーカーが存在するのか

 ゴミ収集車は、いすゞや日野のトラックなどをベースとしていますが、ゴミ収集車自体を製作・販売しているのはそれらの自動車メーカーではありません。

 ゴミ収集車のような車両はベースとなる車両に対して特別な架装が加えられていることから「特装車」と呼ばれ、前出の極東開発工業のような専門の特装車メーカーによって製造・販売されます。

 特装車は、架装の程度によって異なりますが、ベース車両よりもかなり高額となることがほとんどです。

 例えば、特装車メーカーのひとつである新明和工業では、プレス式と巻き込み式の2種類のゴミ収集車をラインナップし、それらの定価は2トンタイプのプレス式が381万円4000円、巻き込み式が376万8000円ですが、これらはエンジンや車体などの「シャシ部分」を除いた金額です。

 ゴミ収集車のベース車両は、いすゞ「エルフ」や日野「レンジャー」などのトラックが一般的ですが、特装車に仕立てるには車体本体の価格も必要となります。

 一見すると高価な特装車ですが、専門用途に応じて製作されていることから、その機能性は抜群です。

 また特装車メーカーごとに、特色もあります。例えば、新明和工業では1台で2種類のゴミを分別収集可能な「2分別塵芥車」という特徴的なゴミ収集車を販売。
 
 ボディの左右にゴミ収集コンテナを備えるこの車両は、缶と紙などの異なるゴミを1台で収集できることから車両台数の削減や効率的なゴミの収集に貢献しています。

 また、プレス式のゴミ収集車では、ごみに含まれる水分を絞り出してしまい、汚水が発生するという問題を抱えています。

 極東開発工業のゴミ収集車では、汚水を道路に放出してしまわないよう汚水タンクや漏れ防止プレートが備え付けられ、なかに溜まってしまった汚れも奥から水で洗い流せるなどの特徴的な構造を持っています。

救急車なども特装車として専用メーカーが製造していることが多い
救急車なども特装車として専用メーカーが製造していることが多い

 特装車メーカーはあくまで架装部分を専門に手掛けるメーカーであるため、自社ではクルマを製造していません。

 タンクローリーやコンクリートミキサー車なども特装車のひとつですが、これらもトラックの車体をベースに、荷台部分に燃料用のパイプやミキサーを回転させる油圧モーターを取り付けます。

 燃料やコンクリートなどの特殊なものを運ぶための架装は、自動車メーカーとは異なるノウハウが必要とされるため、専門の特装車メーカーが必要となるのです。

※ ※ ※

 特装車は、求められる用途に応じて特殊な改造が施されたクルマです。車体やエンジンこそトラックメーカーのクルマが使われていますが、特装車メーカーが手掛けるクルマは車体構造に手が加えられ、高さや幅が変わることも少なくありません。

 そこには自動車メーカーにはない独自のノウハウがあり、自動車メーカーにはできない役割を果たしているといえるでしょう。

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1件のコメント

  1. 今は撤退しましたがインプレッサやレガシィの富士重工業も塵芥車を生産してました。
    車体にはSUBARUの星マークシールも貼ってありました。
    一般に塵芥車が高額になる理由としては特種用途である荷台に加えトラックシャシ自体もトランスミッションpto付きのシャシでなければならない組み合わせが高額の原因なんですね。
    因みに神奈川県の一部の役所は用途においてシャシ自体もホイルベースを特別に短縮した特注シャシをトラックメーカーにオーダーして塵芥車を導入してます。
    つまりはメーカー諸元に無いシャシですね、このような場合は改造申請書類を事前に提出して登録当地の陸運支局の検査で書類と実車の照合を行うわけですが、市民の税金を無駄な改造費用や手数料に投資するのは感心できませんよね。
    とても民間収集業者では購入しにくい価格の車を入札で安く仕入れるとは言え当然に入札価格は公表されませんね。
    今でもシャシに荷台メーカーが架装する行程は同じですが、今は見込み生産方式と言って記事の極東開発ならメーカーから一定量のシャシが送り込まれ一定量の塵芥車を生産して各々の荷台メーカーの在庫やトラック販売店の在庫に振り分けて納期を短縮させると言った特種用途車においても乗用車のようなカタログモデルに近い販売方式に寄り添う形になってますね、買う側の役所や民間業者もある程度は仕様を妥協してでも納期を優先させる流れになってますね、塵芥車に限らず普通のトラックも仕様を妥協してでも納期を優先して仕事に就かせてますよね

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