無理やり感が逆に面白い!? ユニークなクーペ3選
近年、セダンやSUVでありながら、クーペをイメージさせる流麗なスタイルのモデルが増えています。一方で、本家の2ドアクーペは世界的にも減少している状況ですが、かつては変わった発想でつくられたクーペが存在していました。そこで、ユニークなクーペモデルを3車種ピックアップして紹介します。
もともとはクーペではなかったクーペを振り返る
クルマのデザインは、その時代に合わせて流行りが変化していきますが、近年はセダンやSUVでも流麗なフォルムのクーペタイプが増えています。
とくに欧州メーカーにはクーペスタイルのモデルが多く、なかには居住性よりもデザインを優先したかのようなモデルも存在。
一方で、本来の2ドアクーペや3ドアクーペは世界的にも減少傾向にあり、市場から撤退してしまったメーカーもあるほどです。
そこで、かつてユニークな発想でつくられたクーペを、3車種ピックアップして紹介します。
●BMW「Mクーペ」
1989年にマツダからユーノス「ロードスター」が発売されたことにより、コンパクトなオープン2シーター車の人気が再燃します。
そして、国内外のメーカーはマツダに追従するように、オープン2シーター車を次々と市場に投入しました。
そのなかの1台が1996年に発売されたBMW「Z3」です。初期のモデルは5ナンバー枠に収まるボディに1.9リッターエンジンを搭載したことで、日本でも人気を獲得。
外観はロングノーズ・ショートデッキという古典的なスポーツカーのフォルムで、コンパクトながらもグラマラスなボディです。
このZ3の大きな改良がおこなわれた1998年にクーペボディが追加され、車名が「Z3ロードスター/Z3クーペ」に改められました。
さらに「3シリーズ」の高性能モデルである「M3」に搭載された321馬力を発揮する3リッター直列6気筒エンジンを移植した、「Mロードスター/Mクーペ」が登場。
MクーペのボティはMロードスターをベースに、車体後半部分と屋根部分を新たに追加するかたちでクーペ化。ワイドボディになったことで、迫力あるフォルムを実現しています。
ボディ形状はクーペという名前ながらも、どちらかというとショートボディのステーションワゴンやシューティングブレークといったイメージで、2シーターのままということもあり、大容量の荷室を備えていました。
内装はZ3クーペに準じていましたが、センターコンソールに3つのメーターが設置され、随所にメッキの加飾をおこなうことでクラシカルな雰囲気を演出しています。
その後2002年に後継車の「Z4」にバトンタッチし、Z4にもクーペモデルがラインナップされましたが、こちらは正統派のクーペスタイルとなっていました。
●ミニ クーペ
1959年に誕生したBMC「ミニ」は秀逸なパッケージングとデザインによって、世界中のFFコンパクトカーに影響を与えた偉大なモデルです。
しかし、ローバーグループの経営悪化によりBMWに買収され、ミニは2000年に生産を終了。そして2001年に、BMWグループのプレミアムスモールとして、新生ミニが発売されました。
新たなミニはオールドミニの面影を色濃く残したデザインと、ゴーカートのようにキビキビ走るドライブフィーリングによって、世界的に大ヒットを記録。
2006年に登場した第2世代では、レギュラーモデルである3ドアハッチバックと、全長が240mm長い「クラブマン」、オープンモデル「コンバーチブル」、初の4ドアモデルの「クロスオーバー」など、多彩なバリエーションが展開されました。
さらに2011年には5番目となるモデル「クーペ」を発売。3ドアハッチバックのリアシートを取り払うことでシリーズ初の2シーターとし、低いルーフに合わせてフロントウインドウの傾斜を大きくするなど、大幅に手が入れられています。
内装は基本的に3ドアハッチバックと同様の意匠ですが、後部はすべて荷室となっていたため、3ドアハッチバッよりも大容量でした。
グレードは「クーパー」、「クーパーS」、チューニングモデルの「JCW(ジョン・クーパー・ワークス)」が設定され、JCWには211馬力を誇る1.6リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載。
ミニクーペはクイックなハンドリングとハイパワーなエンジンの2シーター車という生粋のスポーツカーでしたが、異色なモデルとして人気となることはなく、この代をもって消滅しています。