VWの新型SUV「Tロック」と「Tクロス」、乗り比べてわかった似て非なる個性とは
2020年7月15日に日本上陸を果たしたフォルクスワーゲン(VW)の新型コンパクトSUV「T-Roc(Tロック)」。だがVWには2019年11月に登場したばかりのコンパクトSUV「Tクロス」が存在している。エクステリアデザイン以外で、2台のSUVの違いはなんなのか。実際に乗り比べてみた。
TロックのほうがTクロスよりもひと回り大きいボディサイズ
2019年11月に登場したT-Cross(Tクロス)に次いで、2020年7月に発表されたT-Roc(Tロック)と、SUV攻勢を強めるフォルクスワーゲンから「T」からはじまるネーミングの新型車が相次いで日本に上陸した。
この2台がどのように違うのか、気になっている人も少なくないだろう。そこで今回は、新たに登場したTロックとTクロスを乗り比べ、あれこれ検証してみた。
ちなみに試乗車は、Tロックは価格が453万9000円のスポーティかつ上級装備を満載した「R-Line(Rライン)」、Tクロスは価格が299万円と300万円を切った「1st」と、それぞれをもっとも象徴するグレードだ。
全長は、Tロックの4240mmに対しTクロスは4115mm、全幅はTロックの1825mmに対しTクロスは1760mmと、ボディサイズはTロックがひとまわり大きい。またホイールベースもTクロスの2550mmに対しTロックは2590mmとやや長く、全高はTロックが1590mm、Tクロスが1580mmとほとんど変わらない。
ボディ形状がスクエアでオーソドックスなSUVスタイルを持つTクロスに対し、TロックはクーペSUV的デザインなせいか、サイズ感は同じぐらいに見える。
太いCピラーはフォルクスワーゲンの一員の証として、フォルム以外の外観の雰囲気はお互い似ているが、クロームパーツをあしらってプレミアム感を演出するTロックに対し、Tクロスは材着パーツを多用し、よりSUVイメージを演出している。
さらには、フロントのデザインは似ているものの、バンパー両サイドのアイコニックな部分がTロックはLEDなのに対し、Tクロスはフォグランプが配されていたり、テールゲートのガーニッシュのデザインもだいぶ異なるなど、よく比較してみるといろいろと差別化されているのがわかる。
インテリアの雰囲気も似て非なるもので、ヒップポイントの高さも違えば、サイドウインドウの形状も違うので、後席の開放感も異なってくる。
5名乗車時のトランク容量は、Tクロスの445リッター、Tロックは455リッターと、数字上は意外や拮抗している。ただしこれは、Tクロスのリアシートが前後スライドすることで、トランク容量を稼いでいることにある。リアシートを一番前にスライドすると445リッターだが、リアシートの空間を確保するため一番うしろにスライドさせると385リッターになるのだ。
また、Tロックには電動テールゲートや、一部グレードにレザーシートが設定されているのも特徴だ。
印象的なのは、TロックがクーペSUVのデザインでありながら、居住性も十分でトランクも広く、使い勝手に優れることだろう。こうして別の車種としてつくり分けたのだから、Tロックはもっと尖っていてもおかしくないところを、あまりそうすることもなくきちんとした実用性を確保しているあたりは、いかにもフォルクスワーゲンらしいな、と感じるところだ。
記事に誤りがあります。まず、両車ともトランスミッションは乾式多板です。
また、T-ロックは、日本導入モデルはFFのみで4WDはありません。
このたびはご指摘をいただき、誠にありがとうございます。
修正いたしました。