VWの新型SUV「Tロック」と「Tクロス」、乗り比べてわかった似て非なる個性とは
Tロックは2リッターディーゼル、Tクロスは1リッターターボのみ
日本仕様の搭載エンジンは、現状のラインナップでは、Tクロスが最高出力116ps・最大トルク200Nmを発生する1リッター直列3気筒ガソリン直噴ターボ。対するTロックは最高出力150ps・最大トルク340Nmの2リッター直列4気筒ディーゼルターボのみとなっている。
加速性能の違いはいうまでもないだろう。Tクロスもターボ付きで性能的には十分とはいえるのだが、ディーゼルのTロックはより低回転から力強く加速する。むろんディーゼルとガソリン、4気筒と3気筒とではエンジンサウンドもまったく別モノだ。また燃費の公表値も、すべての数値でTロックが上回っている。
組み合わされるトランスミッションは7速DSG(DCT)で共通になる。
タイヤサイズは、今回の車両については、Tロックが215/40R19、Tクロスが205/60R16となっていた。
数字だけ見ると、タイヤの厚いTクロスのほうが乗り心地はよい気がするのだが、実際には反対で、Tロックのほうがしなやかでありながらフラット感も高く、上質なドライブフィールを実現していた。
これには一般的なサスペンションのTクロスに対し、Tロックには電子制御ダンパーが最適に減衰力を調整する「DCC」が与えられていたことが効いていそうだ(Rラインに標準装備)。
また、TクロスはSUVゆえ、タイヤが大径で重心が高くなることに対してロール等の挙動を抑えるために、足まわりをそれなりに固めたように見受けられ、ややコツコツとした硬さを感じた。
ただし、タイヤ自体の厚みがあるため衝撃は緩和されるので、けっして不快に感じるほどではない。多少は乗り心地に影響があっても、しっかり走れることを優先しているあたりも、これまたフォルクスワーゲンらしい部分だろう。
その上で、Tロックのほうが洗練度では上回るというニュアンスになる。そして、狙ったラインを正確にトレースできるハンドリングと、路面の状況を手に取るように伝えてくるしっかりとしたステアリングフィールは、両車とも共通していた。
先進安全運転支援装備については、Tロックの大半のグレードに付くレーンキープアシストシステムやハイビームアシストが、今回のTクロスの1stには装備されていなかったが、上級の「1st Plus」(価格335万9000円)には設定されている。
※ ※ ※
こうして見てくると、新たに登場したTロックは、Tクロスよりもだいぶ「格上」に位置づけられているように見受けられ、予算に余裕があるならTロックを買ったほうがよいといえそうだ。
とはいえTクロスのコストパフォーマンスの高さも、それはそれでもちろん魅力的であることには違いない。フォルクスワーゲンのSUVとして、どちらを選ぶかは悩ましいところだ。
記事に誤りがあります。まず、両車ともトランスミッションは乾式多板です。
また、T-ロックは、日本導入モデルはFFのみで4WDはありません。
このたびはご指摘をいただき、誠にありがとうございます。
修正いたしました。