「ディーノ」はスーパーカーブーム時代のハンドリングマシン! 落札価格に要注目!!

沖田の愛車だった「ディーノ」の世界的相場はいくら?

 今回「The Silverstone Classic Live Online Auction 2020」では、シルバーストーン・オークション社の創業30周年を記念した特選車カテゴリー「SA-30」を設定。その1台として出品されているディーノ246GTSは、1973年に生産された英国仕様の1台である。

●強気の最低落札価格が意味するものは?

歴代のオーナー記録に加えて、1974年の初入庫以来の修理/メンテナンス記録まで残されている「ディーノ246GTS」(c)SILVERSTONE AUCTIONS
歴代のオーナー記録に加えて、1974年の初入庫以来の修理/メンテナンス記録まで残されている「ディーノ246GTS」(c)SILVERSTONE AUCTIONS

 シルバーストーン・オークション社では、この個体について30万から35万ポンド(邦貨換算で約4040万円~4710万円)という、ここ1、2年のディーノ246GTSの国際オークション市況を思えば、なかなか強気ともとれるエスティメート(推定落札価格)を設定している。

 しかしこの価格設定には、しかるべき根拠があるようだ。同社のWEBカタログに記された資料によると、この246GTSは1973年6月に、英国ウィルトシャー州ロートンの高級スポーツカーディーラー「Dick Lovett Specialist Cars」を介して、ノーザンプトン在住の1stオーナーに納車されたとのことである。

 シャシ/エンジンはマッチングナンバーで、新車デリバリー以来47年間の走行距離は、わずか1万8275マイル(約2万9200km)。「Azzuro Dino Metallico(ディーノ・ブルー・メタリック)」のボディカラーや「Beige VM 3218(ベージュ)」のビニールレザー製インテリアハイド、そしてメーカーオプションのパワーウィンドウなど新車時のスペックもそのまま残されている。

 また、当時英国の正規ディーラーだった「マラネッロ・コンセッショネアーズ」が、左右フロントバンパーを上部でつなぐグリルガードとセットでディーラーオプションとしていたヘッドライトカバーが装備されるのも、この車両の魅力を高めている。

 さらには歴代のオーナー記録に加えて、1974年の初入庫以来の修理/メンテナンス記録まで残されるなど、来歴についても申し分ない。今世紀以降、英国のみならず全世界を代表するフェラーリ・スペシャリスト「DKエンジニアリング」によるメンテナンス作業をしばしば受けている。近年、オリジナルカラーで再びリペイントが施されていることなど、47年のヒストリーの大部分が判明しており、それを証明するドキュメント類も完備している

 その傍ら、もしもマイナス要素があるとすれば、イタリア製のスーパーカーではあまり好まれないRHD(右ハンドル)車であることが挙げられる。でも、1274台が製作されたという246GTSのなかでも、英国および英連邦マーケット向けのRHD車はわずか235台に過ぎないことが、特にイギリス主体のオークションでは「希少性」として加味される可能性もまた、充分にあり得るだろう。

 ここで筆者の私見は蛇足かもしれないが、ディーノ246GTSやキャブレター仕様のフェラーリ308GTSは、キャブの吸気用エアインテークが右リアフェンダーにあることから、ルーフを外した際には、青天井の排気音とウェーバーキャブの吸気音をダイレクトに聴きながら運転を楽しむことができるRHD仕様も、決して邪険にすべきではないと考えているのだ。

 それはさておき、今回の「SA-30」カテゴリーでは全出品車ともにリザーヴ(最低落札価格)が指定されていないので、入札の最高額でそのまま落札とされる取り決めなのだが、8月1-2日の2日間のみで展開される「The Silverstone Classic Live Online Auction 2020」オークション当日には、おそらく相当のビッド合戦が展開されるものと思われる。

 シルバーストーン・オークション社の期待するような高値での落札となるか、それともディーノ246GTSの相場観に即した落札に終わるのか……。

 オンライン競売の結果を、楽しみにお待ちいただくこととしたい。

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