神出鬼没の移動オービスにも対応できる!? レーダー探知機はどう進化?
検挙数としては、ここ数年の減少傾向にある速度違反ですが、移動式オービスの登場で、2019年は時速15km未満の検挙数だけが約8倍も増加しています。一方、そうした速度取り締まり装置を検知する「レーダー探知機」も常に進化しています。
移動式オービスの普及で速度15km未満の速度違反検挙が急増
警察庁が公開した「道路交通法違反の取締り状況」によると、2019年の「最高速度違反」の検挙数は、前年より約10万件減少の113万7255件でした。違反件数全体の約2割と高い割合を占めていますが、件数では約3万5000件増加した「一時不停止」がトップになっています。
ここ数年、最高速度違反は減少していますが、その一方で2019年に、件数としては前年の約8倍に増加したのが、「速度15km未満」の違反件数です。2018年はわずか43件だったのに対し、2019年は340件と激増しています。
なぜ速度15km未満の違反が増加したのでしょうか。
最高速度違反の検挙の方法は、「ネズミ捕り」と呼ばれる定置式速度取締りや、パトカーや白バイによる追尾式、そして速度違反自動取締装置いわゆるオービスの、3パターンがあります。
検挙数では3番目となるオービスですが、これまでの常識を覆す新兵器が登場ました。それが、可搬式速度違反自動取締装置で、レーザー光を使用した「移動式オービス」と呼ばれる機種です。
装置一式は20kg程度で、三脚でどこでも簡単に設置でき、違反車をその場で撮影。後日ナンバーから、登録されたドライバーを呼び出す方式をとっているため、ネズミ捕りのように、通称「サイン会場」に呼び込んで違反切符を切るためのスペースも不要です。
しかもこの機種は、これまでのレーダー光ではなく、レーザー光で計測するため、従来のレーダー探知機では検知できず、ドライバーにとっては脅威のオービスとなったのです。
2017年から試験的に導入され、いまでは全国で稼働。市街地の生活道路や通学路における重大事故の発生抑止が目的で、最高速度を30km/hに規制した「ゾーン30」区間などでも設置しています。
そのため、これまでオービスの取り締まりの対象だった一般道の速度超過30km/h以上、高速道路での同40km/h以上という赤切符だけでなく、比較的軽い違反の青切符も対象になったため、同15km/h未満の検挙数が急増したのです。
オービスは1970年代後半に肖像権の侵害などが問題視され、1980年の東京簡裁の判決から一般道では超過30km/h以上、高速道路等では40km/h以上が検挙の対象となり、さらにはおとり捜査に類似するとの批判から、「自動速度取締器設置路線」などの警告看板を設けることになりました。
しかし、今回の移動式オービスでは警察官が立ち会うなどの理由と、もともと警告看板の設置に法的な定めがないことから、愛知県警察のように「予告標識を設置せずに取り締まりを実施する」と公言する県もあるのです。
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