『サーキットの狼』で好敵手が乗っていた「ナナサン・カレラRS」のオークション価格は、いまいくら?
いま、早瀬佐近の愛車は、いったいどれくらいの落札価格?
ある資料によると、ポルシェ911カレラRS2.7の生産数1580台の内訳は「ツーリング」が1324台、「スポーツ」が200台、そして「レーシング」が56台とされている。
●ライトウェイト版に負けないヒストリーのツーリング
今回「The Silverstone Classic Live Online Auction 2020」に出品されているのは、もともとは多数派を占めるツーリング仕様として作られた1台。でも、ちょっと興味深いヒストリーの持ち主でもある。
シルバーストーン・オークションのWEBカタログによると、1972年12月に「1973年モデル」としてデリバリーされたこの個体は、1973年から1975年にかけて、主にフランス国内でラリー競技に供用。さらに、1975年のいずれかの時期に「3.0RSR」仕様へとアップデートされ、1982年ごろまでモータースポーツの第一線にあったとのことである。
1985年には3.0RSR仕様のままドイツのコレクターに譲渡され、空調付きのガレージに収められたそうだが、その後は約30年近くにわたって秘匿されてしまうことになる。
そして、アメリカのさる有名ショップを介して、現オーナーであるシルバーストーン・オークションの顧客が入手したのちに、今度は英国のポルシェ・スペシャリストに委ねられ、4万ポンド以上を掛けて現在の状態にレストア。
再び「ナナサンRS」スタイルとなった内外装は、新車として生産された際のオリジナル、ライト・イエローのボディにブラックのインテリアに戻されたが、その数奇なヒストリーへのリスペクトからだろうか、当時モノのスポーツオプションであるバケットシートやロールケージなどは残されている。つまり、ポルシェ愛好家には少なくない「武闘派」にとって、とても好ましい73カレラRSなのだ。
ひと頃は73カレラRSというだけで、「億越え」の取引価格が既定路線となっていたが、新型コロナウイルス禍に苛まれる以前の2019年の例を見ると、アメリカやアブダビ、そして日本で行われたオークションでは、RSツーリングについては6000万円から8000万円あたりで推移していたようだ。
一方「ライトウェイト」とも称されるスポーツないしはレーシング仕様がオークションに出る機会は限定されるが、もしも出品されれば依然として「億越え」となっている。
それでは今回の出品車両はといえば、元来ツーリング仕様として生産されたとはいえ、並みのライトウェイト仕様たちを大幅に上回るレーシングヒストリーがあることが、現況のマーケット価格の査定を非常に難しいものとしている。
この春以降にRMサザビーズ社が開催してきたオンライン限定オークションの結果を見ると、たとえ新型コロナ禍の真っただなかにあっても、ポルシェ、ことに人気のモデルのマーケット価格に、大きな下落は見られないことが判ってきている。
それゆえ、2020年8月1から2日の2日間のみで展開される「The Silverstone Classic Live Online Auction 2020」オークションにおいては、スタート開始早々から活況が期待されよう。
この73カレラRSのオークション結果には、全世界のポルシェ・エンスージアストが注目しているといっても、過言ではあるまい。
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