エリア拡大で勢いづく「ウーバー」とは何者? タクシー配車アプリ強化の裏で起きる変化とは

コロナ禍で従来の法規制にも変化が?

 ウーバーの事業の中核は、ライドシェアリングです。世界60か国以上で月間9000万人以上のユーザーがいます。400万人に近い登録ドライバーが、基本的に自分が所有するクルマをタクシーのように使います。

ライドシェアリングが普及すると日本でも移動サービスに変化が起きる?(写真はイメージ)
ライドシェアリングが普及すると日本でも移動サービスに変化が起きる?(写真はイメージ)

 また、ウーバーでは自動運転ライドシェアリングの研究開発をおこなっており、その事業にトヨタは2018年8月に5億ドル(約535億円)、さらに2019年4月にはトヨタとデンソーで6億6700万ドル(約714億円)を出資しています。

 日本の場合、タクシーのような旅客サービスをおこなうには、緑ナンバーの事業登録車を、二種免許を持つドライバーが運転しなければなりません。白ナンバー乗用車を、普通免許で運転して乗車料金を取ることは、いわゆる白タク行為として禁止されています。

 ただし、交通が不便な地域、または福祉利用を目的として、自家用有償旅客運送という許可を地方運輸局が許可した場合は例外として、ライドシェアリングが可能となります。

 筆者は実際、福井県永平寺町での交通政策を通じてこうした領域の話に関わる立場にあり、ライドシェアリングの必要性について地域の関係者と議論を深めています。

 そのうえで、東京など日本の大都市で、アメリカ、中国、インドのようにライドシェアリングを解禁するかどうかについて、まだまだ課題が多いと感じます。

 しかし、コロナ禍で社会状況に変化も出てきました。タクシー客が減少する地域が目立ち、一方で、ウイルス感染予防の観点で、公共交通期間を利用していた人が自家用車による通勤や、短時間のレンタカー利用やカーシェアリングに切り替える動きもあります。

 日本の都市部や、都市周辺部でのライドシェアリングの有効的な活用方法について、トヨタが絡む自動運転ライドシェアリングの実用化も含めて、改めて議論する時期なのかもしれません。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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