スバルがコロナ影響でニュル24時間レース参戦を見送り それでも2021年復活が不可欠な理由とは
スバルがおこなってきたニュルでの「クルマづくり」と「人づくり」
ただし、スバルにとってモータースポーツはSTIにおけるブランド戦略としてだけではなく、量産車開発とも強い繋がりがあり、ニュル24時間レースやスーパーGT存続は、スバルにとって極めて重要だと考えます。
辰巳氏は、前述の「e-ニュルブルクリンク」レースの冒頭で、スバルとニュルブルクリンクとの結びつきについてもコメントしています。
それによると、ニュルブルクリンクという存在を知ったのは、1980年代前半。最初は、スウェーデンでのテストの途中にぶらりと寄る程度だったといいます。
1990年代に入り、「(欧州車に対してはもちろんのこと)世界と戦えるクルマとするために」という目的で、ニュルブルクリンクを舞台にしたWRXなどの量産車開発体制が始まりました。
その後、WRC(世界ラリー選手権)撤退を受けて、スバルとして新たなるモータースポーツの場が必要であり、選択肢のひとつがニュル24時間レースだったと、当時を振り返りました。
ニュル24時間レースに参戦するからには、オールスバルで戦うべく、全国のディーラーも巻き込んで「人づくり」にも力を入れてきました。
「クルマづくり」では、ニュル24時間レースの車両規定が量産車に近い部分もあるため、STI量産車へのフィードバックがあることで、まさに“走る実験室”かつ“走る広告塔”という、モータースポーツ本来の効果が期待できます。
以前のWRC、そしてニュル24時間レースは、スバルとの、そしてSTIとの相性がとても良い。
愚直にニュル24時間レースにチャレンジし続けるスバルの精神は、2020年後半に発売が予定されている、新型「レヴォーグ」を待ち望んでいるスバルファンの心にも響きます。
STI NBR CHALLENGEチームの存続は、スバルユーザーにとって熱い希望なのだと思います。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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