ランボルギーニ「アヴェンタドールSV」再評価。ランボ謹製V12を味わうなら「SV」がベスト

モデル末期となったランボルギーニ「アヴェンタドール」。ラストに「SVR」登場の噂も絶えないが、自然吸気のV12エンジンを純粋に楽しむとしたら、「SVJ」ではなく、「SV」がオススメだというモータージャーナリストの西川淳氏。その真意とは。

ランボルギーニの「SV」は、時代とともに違う意味を持っていた!

 SVという2文字を見て心ときめかないランボルギーニファンはこの世にいない。古くは「ミウラ」のSV、さらには「ディアブロ」のSV、「ムルシエラゴ」のSVと、いずれも特別中の特別=夢のまた夢という存在であったからだ。

 もっともこれらのイニシャルSVはそれぞれに違う本名をもつ。

 ミウラのそれは「スピント・ヴェローチェ」だったし、ディアブロは「スポーツ・ヴェローチェ」、そしてムルシエラゴは「スーパー・ヴェローチェ」だった。いずれもヴェローチェ(=速い)の凄い版だが、モデルにおける立ち位置が微妙に違った。

「ミウラSV」は最終仕様だったし、「ディアブロSV」は2駆のスポーツ仕様で、「ムルシエラゴSV」は最高性能グレードを意味した。

あまりゴテゴテとせず、さりとてノーマルとはひと味もふた味も異なるアピアランスが、むしろ好感をもてるランボルギーニ・アヴェンタドール LP750-4 SV
あまりゴテゴテとせず、さりとてノーマルとはひと味もふた味も異なるアピアランスが、むしろ好感をもてるランボルギーニ・アヴェンタドール LP750-4 SV

 2011年にムルシエラゴの後継としてアヴェンタドールが登場すると、スタンダードモデルはまず「LP700-4」と呼ばれた。ムルシエラゴSVが「LP670-4」だったので、早くもそれを上回ってきたのだ。

 それでもカーボンモノコックボディをもちパワートレイン設計も一新された革新的な新フラッグシップモデルの進化は止まらなかった。創立50周年を祝う記念モデル「アニヴェルサリオ」で「LP720-4」なり、さらにデビューから四年で早くもSV(スーパー・ヴェローチェ)に辿り着く。「LP750-4」である。

 ランボルギーニファンやスーパーカーマニアなら先刻承知だろう。この後もアヴェンタドールは進化を続け、マイナーチェンジ版の「S」では(すでに車名として使わなくなったが)「LP740-4」となり、さらにSVの発展版の「SVJ」(この三文字もまたランボルギーニファンを狂喜乱舞させる!)ともなれば「LP770-4」にまで到達。

 さらに6.5リットルV12単体のパワーでいうと、限定車でキャパシタハイブリッドシステムをもつ「シアン」用が785psと発表されており、さらにはウワサの「SVR」用としてスペシャルな830ps仕様の開発も進んでいるという。

 というわけで、サンタアガタ製大排気量V12エンジンはいま「最後の進化」へと突き進んでいるわけだけれども、だからこそ今いちどこのL539エンジンの魅力を存分に味わってみたいと思った。そのためにどのモデルが適切か。

 もちろん、現時点で最高性能を誇るSVJがまずは有力候補に上がる。けれどもSVJの白眉は、全域で性能の上がった改良型L539エンジンもさることながら、エアロダイナミクスの進化(ALAシステム採用)によるトラックパフォーマンス向上にこそある。車体トータルで造り上げられた速さが魅力なのだ。

 それゆえ個人的には、あまりゴテゴテとせず、さりとてノーマルとはひと味もふた味も異なるアピアランスで、高回転域でのパワーフィールに特徴ある750psユニットを積んだ「LP750-4スーパー・ヴェローチェ」こそ、エンジンを味わうのに最適な選択だと思うに至った。

 スタンダード用700psからSV用750psへの性能アップは可変バルブタイミングと可変吸気システムの最適化、新排気システムの採用という、いわゆるファインチューンで達成されている。車両重量も内装の簡略化などで50kgのダイエットを果たした結果、パワーウェイトレシオはほぼジャスト2kg/ps。0?100km/h加速でノーマルより0.1秒速い2.8秒を達成した。

 ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェで一周7分を切った初のランボルギーニでもある。

【画像】ランボルギーニ「アヴェンタドールSV」のディテールチェック!(18枚)

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