ヨーロッパでも好調のトヨタ「ヤリス」。人気のBセグメントライバルと比べてみた

日本では未導入の欧州Bセグメント・コンパクトモデルも多い

●プジョー「208」

プジョー新型「208」。日本では2020年中にこの新型208にフルモデルチェンジされて登場する予定だ
プジョー新型「208」。日本では2020年中にこの新型208にフルモデルチェンジされて登場する予定だ

 フランス最大の自動車メーカーとなるグループPSAの、主力ブランドがプジョーだ。

 そのプジョーのBセグメントモデルが「208」になる。日本では従来型が販売されているが、欧州では2019年3月のジュネーブショーにて新世代モデルが発表されている。

 従来、プジョーのBセグメントモデルは「20X」で表記される車名で、「207」の後継車として2012年に初代208が登場。日本未発売の新型は、2代目208という立ち位置になる。

 2019年は通年で約22万台を販売。2020年の販売も、月に2万台のペースを維持している。完全に電動化されたEVバージョンのコンセプトも発表されている。日本導入が待ち遠しい1台といえるだろう。

新型208の寸法は、全長4055mm×全幅1745mm×全高1430mm、ホイールベースは2540mm。ヤリスと比較すると、全長は105mm長く、全幅は50mm幅広く、全高は70mm低くなる。ホイールベースは10mm短い。

 現在、日本で販売されている208は、全長3975mm×全幅1740mm×全高1470mmで、ホイールベースは2540mm。車両価格は243万4000円(アリュール ファンエディション)となる。

●シトロエン「C3」

シトロエン「C3」。現行型で3代目になる
シトロエン「C3」。現行型で3代目になる

 グループPSAの一員、シトロエンブランドのBセグメントは「C3」だ。

 プジョー「208」は5ドア/3ドア(欧州のみ)の普通のハッチバックモデルとなるが、現行型3代目シトロエン「C3」は、クロスオーバー仕立てになっているのが特徴だ。ヘッドライトとウインカーの関係が逆になっているようなユニークな顔つきを持っている。

 ボディの横には、SUVイメージを強調するエアバンプが備わっており、シトロエンならではの強い個性が感じられる。欧州デビューは2016年。日本にも2017年より導入されている。欧州での販売台数では、ちょうど「ヤリス」と同等のレベルだ。

 C3のスリーサイズは全長3995mm×全幅1750mm×全高1495mm、ホイールベースは2535mm(日本仕様)となる。ヤリスと比較すると55mm長く、55mm幅広く、5mm低くなる。ホイールベースは15mm短い。

 車両価格帯は229万円(フィール)から254万円(シャイン)だ。

●ヒュンダイ「i20」

ヒュンダイ「i20」。以前日本でも販売されていたヒュンダイ「TB」の後継にあたるモデルだ
ヒュンダイ「i20」。以前日本でも販売されていたヒュンダイ「TB」の後継にあたるモデルだ

 欧州市場の販売合戦だけでなく、WRCでも「ヤリス」のライバルとなっているのが、ヒュンダイの「i20」だ。

 ヒュンダイのエントリーはAセグメントの「i10」から始まり、Bセグの「i20」、その上の「i30」「IONIQ」と続く。また、「KONA」や「TUCSON」などSUVも豊富に揃っている。

 欧州におけるヒュンダイの知名度は高く、2019年でいえばブランド全体で年間約56万台を販売しているのだ。

 とはいえ、欧州での販売実績を比較すると、i20とヤリスでは現在のところヤリスの圧勝という状況だ。

 3代目となる新型i20は、2020年3月のジュネーブモーターショーで世界初公開する予定だったが、新型コロナウイルス拡大の影響でジュネーブショーが中止、代わりにオンラインで発表されている。この新型i20は、すでに欧州で発売されている。

 新型i20の寸法は、全長4035mm×全幅1734mm×全高1474mm、ホイールベースは2570mm。ヤリスと比較すると全長は95mm長く、全幅は39mm幅広く、全高は26mm低い。またホイールベースは20mm長い。

* * *

 モデルチェンジを重ねるごとに大きくなっていくのがクルマの常だ。コンパクトさが求められるAセグメント、Bセグメントのモデルでも、フルモデルチェンジで全長が長くなることが多いが、ヤリスは先代と変わらず、全長4m以内をキープしている。

 こうして新型ヤリスと欧州でのBセグメントのライバルと比較してみると、ヤリスの全長がライバルよりも短く、全高が高いということに気がつく。ヤリスはアップライトに乗員を座らせることで、室内空間を有効に使っているのだ。

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Writer: 鈴木ケンイチ

1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。

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