停止線は厳守しないとダメ? 交差点によって停止位置が異なる理由とは
クルマの停車位置を示す停止線は、交差点によってはかなり手前に設置されていることがあります。停止線の位置はどのようにして決められるのでしょうか。
停止線に設置基準はあるのか?
交差点などでクルマの停止位置を示す停止線は、交差点から離れて設置されることもあります。遠い信号を視認しながら「なんでこんな手前に…」と思ったことがある人も多いのではないでしょうか。
停止線の設置場所は、警察庁が通達している「交通規制基準」にて「法令により停止する場所」としており、それぞれの設置位置についても基準が示されています。
例えば踏切の場合、交通規制基準では停止線の設置場所について「車両が法第33条第1項の規定により、踏切の直前で一時停止する場合の停止する位置を示す必要がある場所」とされており、設置位置については「一時停止した車両が線路を十分見通せる位置に設置」と示されています。
同様に、横断歩道では「(横断歩道から)1mから5m手前」、一時停止の規制がおこなわれている場所については「同一地点に設置することを原則」としながら、「やむを得ない場合は、道路標識と道路標示が一対のものであることが認識できる程度の位置に設置」と示されています。
横断歩道以外では具体的な数値は示されておらず、その横断歩道についても「1mから5mメートル手前」と、曖昧な印象があります。
では、停止線を設置する「停止位置を示す必要がある場所」は、どのような経緯で決められ、なぜ停止位置がバラバラになっているのでしょうか。
首都圏の警察署の交通課職員は以下のように話します。
「停止線は、その交差点においてもっとも安全と判断された場所に設置されます。この場合の安全とは、一般のクルマやバスだけでなく、道路の形状や、電柱や標識の位置関係、自転車や歩行者なども考慮したものです。
例えば、似たような交差点であっても、そこが小学校などの通学路であれば、子どもたちの歩くスペースなどを考慮する必要があり、停止線や信号機の位置は変わってきます。
また、一度設定された交差点でも、新たなバス路線が追加されたり学校が新設されたりといった道路状況の変化があれば、再度見直される場合も多くあります。
そのため、停止線や一時停止線などは、むしろ明確な基準を設けることの方が危険ではないでしょうか」
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また、場所によっては、交通量が少なくても建物で見づらい場所や変形した交差点などでは、停止位置が交差点から離れた場所となっていることもあるようです。
反対に、見通しがよい交差点であっても、道幅が狭い場所では、バスやトラックなどの大型車がスムーズに右左折できるように配慮した位置に、停止線が引かれています。
なお、雪国では停止線とは別に、停止線と書かれた道路標識が設置されている場合があります。
停止義務がある「止まれ」の標識と違い、停止線があることを知らせるための指示標識ですが、これは積雪がある場合には道路に引かれた停止線を確認することが難しいため、ドライバーが見やすい位置に設置することで、停止線の正確な位置を把握するためのものです。
しかし、大雪の場合や吹雪いているときには標識自体も確認しづらくなることもあるため、カーナビを併用するのがおすすめです。事前に通知の設定をしておくことで一時停止や踏切などの重要な場所では音声案内で注意を促してくれます。
とまれ(一時停止)の場所で、視界が悪いときに教習車でテクニックとして教えてくれる、「2段階停止」の重要性の解説記事を、今後はお願いしたいです。