日産ジュークはもう買えない!? タイ製新型「キックス」はe-POWER専用で2WDのみ?

タイ生産の新型キックスはメーカーオプションが選べない可能性も

 キックスは、日本市場では新型車ですが、海外では2016年から売られています。北米、ブラジル、中国、タイなど、取り扱う地域はさまざまです。

 キックスのボディサイズは、全長4295mm×全幅1760mm×全高1585mmとされ、従来型ジュークに比べると、160mm長く、5mm狭く、20mm高いです。

日産新型「キックスe-POWER」の内装
日産新型「キックスe-POWER」の内装

 ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2620mmなので、ジュークに比べて90mm伸ばされます。ジュークは後席の足元空間が少し狭く感じましたが、キックスなら全長とホイールベースの拡大で余裕が生じます。

 なお日本の都市部では、マンションやショッピングセンターに立体駐車場が多く、全高が1550mmを超えると利用できない場合もあります。

 従来型ジュークの「15RX Vアーバンセレクション」は、全高を1550mmに設定していました。最低地上高をほかのグレードに比べて15mm低い155mmに抑えることで、立体駐車場の利用性を向上させたのです。キックスも同様のグレードを用意したり、追加する可能性があります。

 キックスのボディサイズを既存の国産SUVに当てはめると、もっとも近いのはホンダ「ヴェゼル」です。コンパクトSUVですが、後席は相応に広く、ファミリーカーとしても使いやすいです。

 キックスのシャシは、現行型のノートやマーチに使われる「Vプラットフォーム」です。サスペンションは前輪がストラットの独立式、後輪はトーションビームの車軸式です。駆動方式は前述の通り前輪駆動の2WDになります。

 エンジンはハイブリッドのe-POWERなので、基本的なメカニズムはノートや「セレナ」と同じです。プラットフォームはノートと共通ですから、e-POWERの積載も困難ではありません。そしてタイでは、キックスe-POWERが発表されました。

 ちなみに日本で販売されるe-POWERには、2種類の設定があります。ひとつはノートのノーマルタイプが搭載するe-POWERで、最高出力が109馬力、最大トルクは25.9kg-mです。

 もうひとつはノートe-POWER NISMO Sとセレナe-POWERに搭載されているもので、最高出力が136馬力、最大トルクは32.6kg-mに向上します。

 キックスはスポーティ感覚のSUVなので、これらの中間的な設定です。日本で発売されるキックスe-POWERは、タイ仕様と同じく129馬力・26.5kg-mになる可能性が高いです。

 e-POWERでは、エンジンは発電を担当して、駆動は専用のモーターが受け持ちます。そのために運転感覚は電気自動車に近く、モーターは瞬発力が高いため、活発な走りを楽しめるでしょう。

 価格設定は、ヴェゼル ハイブリッドの2WDと同程度になると考えられます。「ヴェゼル ハイブリッド Zホンダセンシング」は276万186円、同「RS」は286万2037円です。なお、ノートe-POWER NISMO Sは272万1400円です。

 キックスe-POWERの価格も、ベーシックなグレードが270万円前後、上級グレードが290万円前後と考えるのが妥当です。

 ただしキックスは、マーチのようにタイ工場製の輸入車になりそうです。そうなるとメーカーオプションを用意せず(輸入後に装着するディーラーオプション選択可)、1グレードのみにする可能性もあります。この場合の価格は280万円から290万円になるでしょう。

 従来型のジュークには、1.5リッター直列4気筒ノーマルエンジンが用意され、「15RX Vセレクション」の価格は208万円でした。

 サイド&カーテンエアバッグやディスチャージヘッドランプはオプションで、これらを加えると240万円前後です。ヴェゼルの1.5リッターノーマルエンジン搭載車も同等です。

 今後はキックスにも、価格を250万円以下に抑えた1.5リッターノーマルエンジン車が必要になるでしょう。

※ ※ ※

 昨今の日産は車種が極端に減っており、コンパクトカーでありながら上質な雰囲気を併せ持つ「ティーダ」や「キューブ」は販売を終えました。

 従ってキックスは、ジュークだけでなくティーダやキューブのユーザーもターゲットにしており、ワイドなバリエーションが必要です。

 このような車種は、新しいグレードや特別仕様車を追加しやすい国内生産が好ましいです。

国内販売終了…日産 ジュークの詳細を見る

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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1件のコメント

  1. 現行ノートと同じVプラットフォームなので4WDやガソリンG/g追加は簡単そうだけど…どうだろうね?

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