「背の高さ」が人気を左右する!? 低身長の軽自動車がイマイチ売れない理由

昨今、軽自動車が販売台数を伸ばしており、新車販売の約4割を占めています。なかでも背が高いモデルが85%と、圧倒的なシェアとなっており、背が低いモデルは販売が低迷しています。それはなぜなのでしょうか。

軽自動車人気というが、すべての軽の販売が好調なわけではない

 2019年度(2019年4月から2020年3月まで)の国内販売台数を見ると、新車として売られたクルマの37%を軽自動車が占めました。

 しかも2019年度に国内で売られた新車の販売台数ランキングは、1位:ホンダ「N-BOX」、2位:ダイハツ「タント」、3位:スズキ「スペーシア」と、全高が1700mmを超えるスライドドアを備えた軽自動車が新車販売のトップ3を独占しました。

同じ軽でも背の高さが異なるダイハツ「ミラトコット」とホンダ「N-BOX」
同じ軽でも背の高さが異なるダイハツ「ミラトコット」とホンダ「N-BOX」

 最近ではこの3車に代表されるスーパーハイトワゴンが、軽乗用車全体の50%近くに達します。

 ホンダ「N-WGN」やダイハツ「ムーヴ」、スズキ「ワゴンR」のような全高が1600mmから1700mmのハイトワゴンも35%を占めるため、軽乗用車の85%が背の高い車種になりました。

 逆に背の低い車種は、残りの15%に含まれるので、いまの軽自動車では売れ行きの二極分化が進んでいます。

 とくに売れ行きが伸び悩むのは、ダイハツ「ミラトコット」とスズキ「アルトラパン」です。両車のベースとなる「ミライース」と「アルト」については、シンプルな売れ筋グレードを105万円から110万円の低価格に設定して販売も堅調ですが、ミラトコットとアルトラパンは低迷しています。

 とくにミラトコットは販売台数が少なく、1か月当たり1000台前後です。ミライースが1か月に5000台から6000台を売るのに比べても、ミラトコットは低調です。タントの1万4000台に比較すると7%です。

 アルトラパンは、1か月の売れ行きが2500台前後です。ミラトコットに比べると好調ですが、スペーシアの1万3000台に比べると大幅に少ないです。

 ミラトコットの開発に際しては、若い女性社員によるプロジェクトを立ち上げたことが特徴です。開発者は次のようにコメントしています。

「従来は女性向けの軽自動車でも、開発は男性が中心に進めました。必要に応じて、女性のアドバイスを受けましたが、ミラトコットでは企画段階から女性が加わっています。そして女性向けのデザインや装備を『盛る』発想ではなく『素』の魅力にこだわりました」

 確かにミラトコットは、愛玩動物的な可愛らしさを表現した従来の女性向けに比べると、内外装がシンプルです。ボディカラーもライトローズ(ピンク色)などと併せて、ブラックやブラウンも用意され、イメージカラーのセラミックグリーンは渋い感じの色彩です。

 売れない理由は何でしょうか。グリル面積の狭いノッペリとしたフロントマスクなどが敬遠されたのでしょうか。この点をダイハツの販売店に尋ねました。

「ミラトコットの外観は、真っ平らな感じのドアパネルなども含めて個性的です。好みが分かれますが、いまはそれ以上に背の高さが重要です。後席を使わない独身のお客さまも、車内の広い背の高い軽自動車を選びます。

 ダイハツには『ムーヴキャンバス』があり、スライドドアを備えた背の高いボディを備えながら、外観に丸みを持たせました。このムーヴキャンバスは若い女性のお客さまに人気があります(売れ行きは1か月平均で5300台前後)。

 そのほかにも『キャスト』があり、定番のタントやムーヴを含めて背の高い軽自動車が豊富です。ムーヴキャンバスなど全高が1600mm以上の車種では、立体駐車場を使いにくいことから、ミラトコットは主に立体駐車場を使うお客さまに選ばれています」

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