環境性能だけじゃない! サーキットでレースも可能な実力を持つEVの魅力とは
2020年も続々とやってくる予定の欧州メーカーEV
●メルセデス・ベンツ「EQC」
メルセデス・ベンツの「EQC」ほど、EVだということを意識させないモデルも珍しい。
ドアを開けて乗り込み、シートポジションを合わせて、シートベルトをして、ブレーキペダルを踏みながらスタートボタンを押し、ハンドルの右側にあるATのセレクターレバーを下げてDレンジに入れ、ブレーキを放してアクセルペダルを踏めば走れる。
つまりEQCは、メルセデス・ベンツのエンジン車と何ら変わるところはなく、まったく違和感なくメルセデス流の運転の仕方で走れるのだ。給油はせずに自宅で充電ということくらいしか、日常の使い勝手での違いはない。
最高出力は408ps、最大トルクは765Nm。駆動方式は4マティック(4WD)になる。他メーカーのEVのように「異次元の加速感」といったものではなく、あくまでも紳士的だ。エンジン搭載モデルとは違うのは、走行中に風切音と、遠くにタイヤノイズくらいか聞こえてこない静かさだ。
●BMW「i3」
EVはバッテリーが重いのが難点だが、その分ボディを軽くしてパフォーマンスを上げようと考えてつくられたのがBMWの「i3」だ。
タイヤはブリヂストンの「オロジック」という幅狭大径(155/70R19サイズ!)のタイヤを履き、空気抵抗と転がり抵抗を減らしている。
フレームはアルミ合金で作り、骨格はCFRP(カーボンファイバー強化樹脂)で軽量・高剛性のボディを作り、外板はポリプロピレンで仕上げてある。
なお、i3を生産する工場の電力も3本の風力発電で賄っていて、徹底的にCO2削減に取り組んでいる。
i3の特徴は、BMWらしく後輪駆動でスタートダッシュが良いことだ。i3でもEVレースに出場したが、予選が中位で決勝に挑んでも、一斉にスタートすると1コーナーまでに2~3番手にジャンプアップできた。発進時に後輪に荷重移動するがそこで駆動しているメリットがEVでも感じられる。
モーター出力・トルクは170ps・250Nm。発電用エンジンを搭載するレンジエクステンダーモデルもある。
●日産「リーフ」
2代目になり、さまざまな進化を遂げている日産リーフは、災害時の給電車としても活躍している。2019年の台風で停電が長引いた地域にリーフが出かけていき、バッテリーの電気で助けた実績もある。
個人病院などでは、停電でPCが使えなくなると患者さんのカルテも見られなくなり、診察ができないと困るというケースにも対応できるため、セカンドカーにリーフ、という選択肢も広がっているという。
スポーティな仕上げのNISMOやAUTECバージョンのリーフもあるし、バッテリー容量も標準の40kWhと62kWhもチョイスできる。一般的な家庭の1カ月の電力量は400kWhほどだというだから、一軒の数日分の電気がまかなえる。
モーター出力は、150ps・320Nm(40kWhバッテリー搭載車)と218ps・340Nm(62kWhバッテリー搭載車)の2つがある。初代が登場したのが2010年だから、すでに発売から10年が経つ歴史あるモデルとなっているため、リーフでEVレースに出場している選手も多い。
※ ※ ※
2020年はフォルクスワーゲンの新型「e-ゴルフ」、ポルシェ「タイカン」、アウディ「e-tron」など、VWグループのEVがこれから続々と日本に上陸しそうだ。VWグループはディーゼル問題から一転、一気にEVへと舵を切ったからだ。
このなかで乗りたいのは、やはりタイカンだ。ポルシェらしくスポーツカーに仕上げているはずで、そのパフォーマンスはサーキットでも発揮されることを期待したい。
長年EVレースに出ていると、EVのさまざまな問題点も見えてくる。そのひとつが、熱の問題だ。
バッテリー温度が上がること、モーター温度が上がること。高負荷がかかると、EV自身がマシンを守るために制御が入ってしまい、出力を落として本来のパフォーマンスを発揮できなくなるのだ。さらにバッテリー温度が高いうちは充電をすることもできない。
ただし、EVの進化はめざましいものがある。新しく登場してくるモデルが、そのあたりをどこまで解決できているのかは見どころである。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。