なぜシエンタは人気? アルヴェルよりも販売好調 トヨタ最小ミニバンが注目される訳

「ミニバンでも小さなクルマがいい」という人が増えている?

 もうひとつの背景は、新たにミニバンを購入するような若い子育て世代のニーズです。かつては最初のミニバンとしてもっと車体サイズが大きな車種を選ぶことが多かったのですが、軽自動車やコンパクトカーの人気を背景に「ミニバンでも小さなクルマがいい」という判断が増えています。

2018年に加わった2列シートでアクティブ&車中泊ユーザーを取り込んだ
2018年に加わった2列シートでアクティブ&車中泊ユーザーを取り込んだ

 子育てファミリーにとってミニバンの便利さの理由として天井の高さや狭い場所でもドアを全開にできるスライドドアなどがあげられますが、それらは車体が大きくなくてもメリットを実感できる部分。だから日常的に大人数を乗せる人以外は、「車体が小さなミニバンでも日常生活に事足りる」と判断するパターンが増えているのです。

 シエンタは全長4.2m強とトヨタ最小サイズのミニバンで、パワートレインはガソリンとハイブリッドを用意。ハイブリッド車は燃費がいいだけでなく、力強いモーターのおかげでエンジンの負担が少ないから日常領域での騒音が静か、そして真夏でも電動コンプレッサーのエアコンが強力に効くなどのメリットもあります。

 2代目となる現行モデルのフルモデルチェンジは2015年7月で、2018年にはエクステリアをリフレッシュして安全性能や便利装備を向上するマイナーチェンジを実施。

 このマイナーチェンジでは、3列シートのみの設定から新たに2列シートの設定を追加。これにより、近年注目されているアウトドアや車中泊のニーズにも対応したことで、さらに販売台数を伸ばしているのです。

 そんなシエンタのように、フルモデルチェンジから時間が経過してからも販売台数が伸びるパターンは、新鮮さで売れるのではなく、使う人に寄り添ったクルマの良さがしっかりと認められた結果といえるでしょう。

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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