6億円でも即完売! ブガッティ「ディーヴォ」ってどんなスーパーカー?

2018年にワールド・プレミアされたブガッティ「ディーヴォ」が、ついに開発最終段階に入った。2020年にオーナーのもとへ届けられることがスタートするディーヴォとは、どんなスーパーカーなのだろうか。

シロンのオーナーだけが手にすることができるディーヴォは、40台限定

 2020年4月23日、ブガッティはついに「ディーヴォ」のデリバリーを本年からスタートすることを発表した。「シロン」とは違うコンセプトで開発されたディーヴォとは、どのようなハイパーカーなのだろうか。

ファッション業界でいうところのオートクチュールの手法で作られる、ブガッティ・ディーヴォ
ファッション業界でいうところのオートクチュールの手法で作られる、ブガッティ・ディーヴォ

 ディーヴォのワールドプレミアは、2018年のモントレー・カーウィークで開催されたイベント「ザ・クエイル・モータースポーツ・ギャザリング」であった。ランボルギーニのCEOだったステファン・ヴィンケルマンがブガッティのトップになってから、最初のプロジェクトであった。

 生産台数は40台、価格はおよそ6億円で、2018年のワールドプレミアの際にはすでに完売していた、ごく限られたスーパーリッチ向けのクルマである。

 ディーヴォがヴェイロンやシロンと異なる点は、それまでの400km/h以上という、最高速へのチャレンジではなく、コーナリング性能を求めたハンドリングマシンを目指したところにある。

 そして、2018年の発表から2年に及ぶ開発プロセスがようやく最終段階に入り、当初の目標どおり、2020年にデリバリーを開始する目処がたったというわけだ。

 ディーヴォの開発にあたっては、ブガッティのカスタマー(というよりシロンのオーナーで、ディーヴォを購入する選ばれた顧客)の意見が大きく取り入れられている。その結果として、カスタマーがブガッティにコーナリングマシンを求めていることが分かり、ディーヴォにはシロンとは異なった、スポーティで俊敏なキャラクターが目標とされたのである。

 ディーヴォに搭載されるエンジンは、7993ccのW型16気筒4ターボチャージャーである。最高出力は1500hp/6700rpm、最大トルクは1600Nm/2000−6000rpmで、7速DSGデュアルクラッチギアボックスが組み合わされる。

 0−100km/h加速は2.4秒、そして最高速度は380km/hに制限されている。その理由は、アジリティを向上させるために、フロントとリアのキャンバーを変更し、硬いスプリングを選択したことなどによる結果である。

 空力も非常に考慮されており、ダウンフォースが高められたディーヴォは、コーナリング速度が大幅に向上し、ナルドのテストコースでシロンよりも8秒も速いタイムをマークした。またディーヴォはシロンに比べ、35kgも車両重量を軽くすることにも成功している。

開発プロセスが最終段階に入ったブガッティ・ディーヴォ
開発プロセスが最終段階に入ったブガッティ・ディーヴォ

 ディーヴォは、その優れた性能はもとより、ブガッティにとってはコーチビルディングの伝統を復活させた点で意味があるクルマだ。もともと馬車製造をおこなっていたブガッティが、およそ100年の時を経て、ファッション業界でいうところの「オートクチュール」の手法でクルマを製作することで、ブランドの伝統を復活させたのである。

 100年前には、ブガッティで車両をオーダーするカスタマーは、ブガッティのシャシに別のボディビルダーが作ったボディを架装することができた。たとえば1920年代のブガッティの名車である「タイプ57」は、Stelvio、Aravis、Galibier、Ventoux、Atalanteといったファクトリーで、さまざまなスタイルのボディを選ぶことができた。そのなかでもっとも有名なクルマの1台が、「タイプ57SC アトランティック」である。

 また、車名となったディーヴォは、ブガッティのワークスドライバー、アルバート・ディーヴォからとったものだ。彼は、1928年と1929年に、シチリア島で開催されたタルガ・フローリオのレースで優勝を勝ち取っている。

 タルガ・フローリオは、1977年まで開催されていたシチリア島のテクニカルな山道を走る過酷な耐久レースで、ブガッティは「タイプ35」で、このレースに5度の優勝を飾っている。タイプ35は、その当時のクルマのなかで、スポーティで俊敏だったことも、ディーヴォと共通している。

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