SUV王者に黄色信号!? トヨタ「C-HR」前年比7割 マイチェン経ても復活しないワケ
トヨタ「C-HR」といえば、近年のSUVジャンルにおいて人気のモデルです。しかし、2019年度の販売台数では、前年比68%となり売れ筋モデルとしては寂しい数字となりました。人気SUVのC-HRに何があったのでしょうか。
奇抜なデザインで話題となった「C-HR」も世代交代の時期か
近年、日本のSUV市場ではコンパクトSUVのトヨタ「C-HR」が販売好調でした。しかし、直近の販売状況ではかつてほどの勢いが見られません。登場時には奇抜なデザインで話題となったC-HRに何が起こったのでしょうか。
日本自動車販売協会連合会が公表した2019年度(2019年4月から2020年3月)の登録車販売台数において、C-HRは全体16位の4万8940台(前年比68%)を記録しています。
注目したいのは、前年比68%という数字です。この数字は、車種によって異なるものの売れ筋SUVとしては低いといえます。
とくに、C-HRは2019年10月にマイナーチェンジを実施。外観デザインの変更や安全・快適装備の充実などのほかに、1.2リッターターボ車に6速MTの追加や、スポーティモデルとして「GR SPORT」を新設定するなど、商品力を向上させているのです。
このマイナーチェンジは、C-HR最大のライバルとされるホンダ「ヴェゼル」が、2019年1月に走りを意識した新グレードとなる1.5リッターターボ車「TOURING・Honda SENSING」を追加したことが影響していると思われます。
さらに、トヨタのSUVとして2019年4月に発売されたミドルサイズSUV「RAV4」の発売による影響を考慮したものと見られていました。
しかし、実際にはマイナーチェンジの翌月にダイハツ「ロッキー」のOEMとして発売されたトヨタ「ライズ」の登場を前に、C-HRの商品力にテコ入れしたいという思惑もあったのではないでしょうか。
ライズは、C-HRよりも小さな全長4m以下かつ1リッター車という扱い易いサイズに加えて、販売好調なRAV4のアクティブなデザインに寄せたモデルです。
その結果、発売の11月に7484台で登録車4位を皮切りに、翌12月には登録車2位となる9117台、2020年1月(1万220台)、2月(9979台)と2か月連続で登録車1位を記録するほどの好調ぶりを見せました。
これにより、冒頭の2019年度の販売台数ではC-HRに迫る全体17位の4万8809台を記録。なお、RAV4は同年度で全体12位の7万1539台を記録し、SUVジャンルで首位になっています。
そのため、C-HRは同じトヨタのRAV4とライズの登場によって大きな影響を受けたのです。
トヨタの全SUVを扱う都内の販売店スタッフは、次のように話します。
「現在、トヨタにはライズ、C-HR、RAV4、ハリアー、ハイラックス、ランドクルーザープラド、ランドクルーザーという多彩なSUVラインナップがあります。
これまで、C-HRはトヨタのSUVをけん引するモデルとして存在していました。しかし、東京地区では2019年4月から全店舗で全車種が扱えることになり、同時期に新型RAV4が登場したことで、RAV4に販売が注力されました。
そして、11月に扱いやすいサイズ感とウケの良いデザインで登場したライズが出てきたことで、販売現場ではこの2車種を押す形となりました。
お客さまも2016年登場のC-HRと2019年登場の2車種を比較するとやはりモデルが新しい方をご希望されます。また、先日には今後発売が予定される新型ハリアーも発表されたことで、少なからずC-HRの販売に影響が出そうです」
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