空港を200キロで爆走!? レースも出来る「農道空港」ってなに?

日本各地には、農道を活用した通称「農道空港」というものが点在します。飛行機の離発着以外にもドラッグレースなどが開催されている農道空港ですが、どのような場所なのでしょうか。

農道なのに空港? なぞの施設の実態とは?

 空港や飛行場というと、成田空港や羽田空港のように「人が移動するため」に使われているイメージがあります。

 しかし、地方には通称「農道空港」と呼ばれる、かつて農作物の空輸を目的に建設された空港があり、現在ではエアレースやドラッグレースなども開催されているといいます。農道空港とは、どのような場所なのでしょうか。

直線を爆走するドラッグレースも開催する農道空港(画像はイメージ)
直線を爆走するドラッグレースも開催する農道空港(画像はイメージ)

 農道空港とは通称であり、正式名称は「農道離着陸場」と呼ばれます。1988年よりおこなわれた農林水産省の農道離着陸場整備事業において、農道を広げて農作物を空輸することを目的に、小型機の離着陸場として建設されました。

 1991年に岡山県笹岡笠岡市で建設されたのを皮切りに、全国で8か所が建築され、現在でも名前を変えながら残っています。

 北海道から順に、北見市の「スカイポート北見」、北海道余市郡の「アップルポート余市」、北海道美唄市の「スカイポート美唄」、福島県福島市の「ふくしまスカイパーク」、岐阜県高山市の「飛騨エアパーク」、岡山県笹岡笠岡市の「笹岡笠岡ふれあい空港」、大分県豊後大野市の「大分県央飛行場」の8か所です。

 農道空港ができた歴史について、ふくしまスカイパークを管理するNPO法人ふくしま飛行協会の担当者は以下のように話します。

「農道空港自体は、そもそもは50年ほど前に農作物を空輸する計画が開始され、そこから30年後、現在からでいうと約20年前に完成しました。

 当施設でいえば、『北に行くも南に行くも立地的に条件が整っていたから』という要素があったと聞いています。

 しかし、3年から4年ほど使われた後、事業そのものがなくなってしまったそうです。そこから現在に至るまで、農産物を運ぶという目的では使用されていません」

※ ※ ※

 農作物の運輸事業が廃止されたのは1997年ですが、その背景には、高速道路の整備で飛行機の優位性を失ったことや、都市部側に発着場を作れないといった社会的・経済的な情勢の変化が大きく影響していたようです。

 なお、ふくしまスカイパークの滑走路は全長800m×全幅25mとなっています。

【画像】空港で爆走!? 農道空港を見る!(5枚)

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