マツダ新型「ロードスター」のロータリー化ある? 開発者が話す次期型の姿とは

次期ロードスターはロータリー・レンジエクステンダー化?

 そのうえで、NEのEV化の可能性について、もう一歩踏み込んで考えてみたいと思います。ここで出てくるのが、ロータリーエンジンを使ったレンジエクステンダーです。

 マツダ技術説明会2018で、藤原清志副社長がレンジエクステンダーの詳細について触れています。

マツダ初の量産EV「MX-30」
マツダ初の量産EV「MX-30」

 強調したのは、EVの航続距離に対する課題解決です。エンジンを発電機として使うEVを、レンジエクステンダーと呼びます。BMW「i3」などに採用されているレシプロエンジンのレンジエクステンダーに比べて、ロータリーエンジンは中高周波数音が少なく、低周波音は極めて少ないといった特徴があり、エンジン作動中の車内音を大幅に軽減できます。

 試作機も存在します。2013年にマツダR&Dセンター横浜(横浜市神奈川区)で実施した報道陣向け技術説明会。用意された「デミオ」ベースとなる試験車のリアトランクルームの下に、ロータリーエンジン、発電機、ガソリンタンクなどシステム全体がすっぽり収まっていました。エンジンは、シングルローター330ccで、最大出力は22kw/4500rpmでした。

 この試作機を見て、世界各国のメーカーから問い合わせがあったようですが、現時点で採用しているメーカーはありません。まずは、マツダ初の量産EV「MX-30」で採用するのが自然な流れだと思います。

 では、NEのロータリーエンジン・レンジエクステンダー化は実現可能でしょうか。

 たとえば、かなり小型化したレンジエクステンダーユニットをリアミッドシップに搭載。電池パックは一般的なEVのように車体床下に配置。ロードスターらしい愉しい走りが可能となるよう、車両総重量、重量配分、そして航続距離とのバランスを取る、といったレイアウト案が想定できます。

 マツダには、ロードスターの基本理念を掲げた、概念としての(いわゆる)「ロードスター憲法」なるものがあります。そこにあるのは、人馬一体、軽量、前後重量バランス50:50など、NA、NB、NC、NDで具現化してきた、マツダが徹底的にこだわったモノづくりに対する考え方や技術です。
 
 果たして、NEはどんなクルマになるのか。広島ではこれから、本格的な議論が始まります。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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