ドコドコ音はもう聞けない!? スバル車からボクサーサウンドが消えた理由とは

スバルのエンジンといえば水平対向エンジンですが、かつては独特の「ドコドコ」という中低音の「ボクサーサウンド」を奏でており、いまでも多くのファンから根強い人気を誇ります。なぜスバル車はドコドコという音を出していたのでしょうか。また、近年ではこの音は聞こえなくなっていますが、それはなぜなのでしょうか。

かつてのスバル車が奏でた「ボクサーサウンド」の正体とは?

 スバルの「水平対向エンジン」は、誕生から約60年もの長きにわたり、スバルが主力エンジンとして進化させてきました。そのため、「スバル=水平対向エンジン」というイメージを持つ人も多いでしょう。

限定車「インプレッサ22B-STiバージョン」
限定車「インプレッサ22B-STiバージョン」

 2019年に「EJ20型」と呼ばれる主力エンジンは生産を終了しましたが、現在でもスバル車は水平対向エンジンを搭載しています。

 スバル以外では、ポルシェも水平対向エンジンを採用していますが、このエンジンは、ピストンの動きがパンチを打ち合うボクサーの動作を連想させることから、「ボクサーエンジン」とも呼ばれています。

 かつてのスバル車は、このボクサーエンジンから発せられる「ボクサーサウンド」とよばれる独特なサウンドを奏でていましたが、近年のスバル車ではその音は聞かれなくなっています。それはなぜなのでしょうか。

 水平対向エンジンの構造上、各シリンダーから最短でエキゾーストマニホールド(以下、エキマニ)を繋ごうとすると、エキマニの長さが均等にならず不等長になります。

 そのため、各エキマニの排気が集合する部分でぶつかって「排気干渉」という現象が発生し、それが独特の「ドコドコ」とした排気音になっていました。

 これがボクサーサウンドと呼ばれ、スバルの熱狂的なファン(スバリスト)からは個性として好意的に受け止められてきました。

 しかし、このボクサーサウンドが万人に受けていたとはいいがたく、2003年あたりからは「等長エキマニ」を採用することが増えたことから、ほかのガソリンエンジンと同じような静粛性を確保する代わりに、独特のボクサーサウンドが聞けなくなっていったのです。

 スバルの前身は第二次大戦前の「中島飛行機」という航空機会社でした。同社は、航空機用のエンジンとして、放射状に配置されたピストンが向かい合って動く「星形エンジン」を開発。このエンジンから発想を得て、自動車用の水平対向エンジンが生まれました。

 1966年に誕生した「スバル1000」に搭載された「EA型」と呼ばれるスバル初の水平対向エンジンが開発され、長らく基幹エンジンとして採用されてきました。ただし、この「スバル1000」は等長エキマニを採用していました。

 その後、世界に通用する走りを目指して基本設計から刷新された「EJ型」水平対向エンジンが開発さ、ステーションワゴン&4WDブームを巻き起こすほどの大ヒットモデルとなった初代「レガシィ」に搭載されたことで、一気にメジャーな存在になります。

 そして、このレガシィが「不等長エキマニ」を採用したため、あの独特のボクサーサウンドも広く知られることとなりました。

 レガシィでは初代から3代目あたりまで不等長エキマニを採用していましたが、ツインスクロールターボや電子制御スロットルの搭載などと合わせて排気干渉を解消させ、燃費効率の向上を目指した4代目から等長等爆エキマニへとスイッチしたのです。

【画像】スバル初代「レガシィ」に搭載されたEJ20型のエンジンルーム(25枚)

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2件のコメント

  1. お疲れ様です。
    ドコドコ音はクランクの角度変更かと思っていました。

    • リズムで例えると?不等長がバババン、バン🎵
      新式がババン、バン🎵の繰返しなんですね。
      但し大型トラックなどのV8エンジンは貴方の指摘通りですね。
      これは持論ですが、水平対向であるが故の排気配管の不自由度、更には普通のエンジンに比較してクランク軸の中心が高い事を考えると決して低重心とは言えない産物なんですね。
      また世界に誇るボクサーディーゼルが規制に対応しにくいのも排気配管の都合、DPRや尿素の設置スペースなどの問題やコストがあるようですが、私が推察するにディーゼル機においては水平対向の片側バンクに剛性が保ちにくい問題が立ちはだかった為ではないかと思います。
      確かにユニット自体は低くレオーネやスバル1000時代はそれを利用してエンジンルームにスペアタイヤを収納するなど工夫はありましたが世間で言われるほどのメリットはありませんね。

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