『自動ブレーキ』なぜメーカーごとに名称バラバラ? 統一されない理由とは
最近、よくCMなどで先進的な予防安全装備が装着された新型車をよく耳にします。しかし、各メーカーは「先進安全技術」のことを独自の呼び方で紹介しているので「どれがどれだかよくわからない」となることも少なくありません。先進安全装備の名称が異なる理由や、それぞれの特徴とはどんなものなのでしょうか。
国産メーカーの先進安全技術は世界でもトップクラス
最近登場する新型車は、多くのモデルが先進的な予防安全装備の装着(先進安全自動車・ASV)をCMなどで謳い、先進的な安全性能をアピールしています。しかし、メーカーごとに予防安全装備の名称が異なることから、それぞれの違いがわからないという人も少なくありません。
なぜ、メーカーごとに予防安全装備の名称は異なるのでしょうか。また、それぞれの違いとしてはどのようなものがあるのでしょうか。
予防安全装備の内容は、メーカーごとに異なることはもちろんですが、システム名称もそれぞれバラバラです。
名称が異なる理由について国産自動車メーカーの広報に聞くと、次のように話します。
「名称がバラバラな理由には、商標登録上の問題も多くあります。また、法整備されたタイミングや各社の機能内容に起因するものもある状況です。ユーザーからすれば名称ぐらいは統一してほしいと思いますが、現時点ではなかなか難しい問題でもあります」
※ ※ ※
予防安全装備のなかでも代表的な装備として衝突被害軽減ブレーキ(通称:自動ブレーキ)がありますが、これの普及が大きく進んだのがスバルの「Eyesight(アイサイト)」の影響だといわれています。
2010年5月に「レガシィ」から搭載が始まった「EyeSight ver.2」は、ステレオ(2基)カメラを用いるシステムを採用したうえで、約10万円という優れたコストパフォーマンスを実現。
スバルによる積極的な広告宣伝も相まって、衝突被害軽減ブレーキの認知度が上がりました。
現在の最新版は、「Eyesight Touring Assist(アイサイトツーリングアシスト)」という名称です。
衝突被害軽減ブレーキ機能はもちろん、高速道路などでは渋滞して停車しているとき(時速0km)から高速走行(時速120km程度)の幅広い速度域で、アクセル・ブレーキ・ステアリング操作をアシストします。
また、高速道路でアクセル・ブレーキ・ハンドルの運転操作支援をおこなう機能としては、日産の「ProPILOT(プロパイロット)」や三菱の「MI-PILOT(マイパイロット)」が挙げられます。
※ ※ ※
2020年2月現在、国産メーカーがラインナップする予防安全装備の名称は、以下のとおりです。
●トヨタ:Toyota Safety Sense(トヨタセーフティセンス)
●ホンダ:Honda SENSING(ホンダセンシング)
●日産:インテリジェント エマージェンシーブレーキ
※衝突被害軽減ブレーキ機能の名称
●マツダ:i-ACTIVSENSE(アイアクティブセンス)
●三菱:e-Assist(イーアシスト)
※MI-PILOT以外の予防安全機能の総称を指す名称
●スズキ:Safety Support(セーフティサポート)
●ダイハツ:SMART ASSIST(スマートアシスト)
今となってはエアコン同様の標準機能であるABSも、その当時は4WASとか4ESCとか4wALBとかバラバラだったから、「自動ブレーキ」もそのうち普通名詞化したなにか(ATSとかATCとかCTCとか)に統一されるでしょう。