『自動ブレーキ』なぜメーカーごとに名称バラバラ? 統一されない理由とは
スタートから約30年! 「ASV推進計画」とは
前述のとおり、各社で名称が異なる予防安全装備ですが、この考え方の大元となるものは国土交通省が提唱した前述の「先進安全自動車(Advanced Safety Vehicle・ASV)」です。
ASVとは、交通事故の削減を目的とした先進安全技術を搭載したクルマのことで、1991年度から約30年にわたり展開されているプロジェクト「ASV推進計画」として、国土交通省が主体となって各メーカーに提唱しています。
基本方針は「ドライバー支援の原則(ドライバーを支援する技術であって、主体はドライバーである)」「ドライバー受容性の確保(ドライバーが安心して使える技術)」「社会受容性の確保(社会から正しく理解され受け入れられること)」の3つです。
ASVの技術には次のようなものがあります。前述した各メーカーの予防安全装備も、これらの装備を中心に組み合わせたもののセットとして呼ばれていることが多いです。
・衝突被害軽減ブレーキ(クルマが障害物を感知し衝突に備えるブレーキ)
・ペダル踏み間違い時加速抑制装置(誤発進を抑制する機能も含む)
・車線逸脱警報装置(道路の車線を検知し、はみ出しそうになると警告音で知らせる機能)
・レーンキープアシスト(走行車線の中央付近を走行し続けるよう操舵をアシストする機能)
・後退時の後方視界情報装置(バックカメラで後方の視認性を確保)
・後側方接近車両注意喚起装置(斜め後方からくるクルマを検知し、知らせる機能)
これらの機能のなかで「衝突被害軽減ブレーキ」と「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」などを搭載したクルマに政府は「サポカー/サポカーS」という愛称を付け、官民連携で普及を図っています。
今となってはエアコン同様の標準機能であるABSも、その当時は4WASとか4ESCとか4wALBとかバラバラだったから、「自動ブレーキ」もそのうち普通名詞化したなにか(ATSとかATCとかCTCとか)に統一されるでしょう。