なぜ新型セダンを投入? 国内市場縮小でも新型モデルが発売される理由とは
ひと昔前までは、クルマといえばセダンが当たり前の時代がありました。しかし、現在では多様化するニーズに応えるべく、さまざまなボディタイプが登場し人気を博しています。その影響もあり、セダン市場は縮小傾向にあるといいますが、それでも国産自動車メーカーが相次いでセダンの新型モデルやフルモデルチェンジをおこなう理由とは、どのようなものなのがあるのでしょうか。
国内のセダン市場縮小傾向でも新型セダンは相次いで登場
かつては、高い人気を誇ったセダンですが、年々全体的な販売台数が減少しているほか、現行ラインナップからセダンを廃止している国産メーカーもあります。
一方で、新型車やフルモデルチェンジなどでセダンのラインナップを刷新しているメーカーもありますが、なぜ縮小傾向にあるセダンを整理せずに販売し続けるのでしょうか。

かつて、クルマのボディタイプといえば「セダン」が大半でした。1980年代まではのクルマは、そのセダンのシャシをベースにクーペやワゴン、バンという形でラインナップを多くしていったのです。
しかし、時代やユーザーのニーズか変化するとともに、それぞれのボディタイプは個別化され、コンパクトカーやステーションワゴン、ミニバン、SUVの元となるクロスオーバーなどそれぞれの市場が成熟してきています。
なかでも、扱いやすいボディサイズのコンパクトカーや、友達や家族など大勢で出掛けることのできるミニバンは、人気のジャンルです。
また、最近では本格的な悪路走破性を持たないもののレジャーなどでの使い勝手の良いSUV市場も盛り上がりを見せています。
一方でセダンは扱いやすさ、多人数乗車、レジャーでの使い勝手を兼ね備えてないモデルも多いため、近年のニーズには合わないボディタイプとなりつつありました。
2020年2月現在、国産メーカーが国内市場でラインナップしている数は、トヨタ全10車種、ホンダ全7車種、日産全5車種、スバル全3車種、マツダ全2車種、ダイハツ全1車種となっています。
スズキは、「キザシ」を2015年に廃止してからセダンがなくなりました。三菱は、日産「フーガ」、「シーマ」のOEM車である「プラウディア」、「ディグニティ」を2016年に販売終了しました。
また、日産は「ティアナ」を2020年に生産終了する予定です。トヨタは、2019年に「マークII」から続いてきた「マークX」を生産終了し、約50年の歴史に幕を閉じました。
さらに、トヨタはこれまで4チャネル(トヨタ店・トヨペット店・カローラ店・ネッツ店)で専売していた車種を全店で全車種を取り扱えるようにするとしています。
これにより、同じクルマでも車名や外観デザインを変えて販売する必要性が無くなったことから、セダンの「アリオン(トヨタ店)」「プレミオ(トヨペット店)」を統合または廃止する可能性も出てきているのです。
セダンのラインナップについて、自動車メーカーのスタッフは次のように話します。
「現在、国内市場の販売台数は伸びてきてはいますが、売れる車種の傾向は偏りつつあります。そのため、各自動車メーカーはラインナップの整理をおこない、売れる車種を残す方向性になってくると思われます。
各社で事情は異なるので一概にはいえませんが、各市場のなかでもセダンの縮小傾向が大きいことから最初にラインナップの整理として、手を付けやすいのかもしれません。
しかし、縮小傾向ながらも50代以上のお客さまからは依然として、セダンのニーズがあるのは確かです。そのため、大きな販売台数は見込めなくてもメリットがある車種に関しては、フルモデルチェンジをおこなっているのだと思います」
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最近、発売された新型モデル(フルモデルチェンジ含む)では、2017年7月にトヨタ「カムリ」、2018年6月にトヨタ「センチュリー」と「クラウン」、同年12月にホンダ「インサイト」、2019年5月にマツダ「マツダ3」、同年9月にトヨタ「カローラ」、2020年2月にホンダ「アコード」と相次いで登場。さらに、2019年7月には日産「スカイライン」がビッグマイナーチェンジを遂げ、大幅に刷新されています。



















