なぜ新型セダンを投入? 国内市場縮小でも新型モデルが発売される理由とは
セダン人気復活の鍵は「若者」?
セダン人気が低迷しているなかで、各国産メーカーの販売店はどのような販売戦略を打ち出しているのでしょうか。
また、セダンを多く扱うトヨタとホンダの販売店スタッフは次のように話します。
「トヨタのセダンラインナップは、アリオンやプレミオを除けばそれぞれの役目を持っているため、そこまで被っている車種はありません。
センチュリーやミライは別格なほか、ハイブリッド専用のプリウス、プリウスPHV、高級セダンの代名詞であり歴史のあるクラウン、スポーティかつ若年層に向けたカムリなど個性がわかれています」(トヨタ販売店スタッフ)
「ホンダでは、エントリーモデルのグレイスからフラッグシップモデルのレジェンドと全7車種のセダンがあります。
実際の販売面では、レジェンドは高級モデルのため多くの販売台数を期待できず、クラリティPHVはハイブリッド車と似たパッケージながら600万円近いことからこちらも販売台数は見込めません。
また、アコードとインサイトはどちらもハイブリッド車のみの展開となり、ボディサイズやデザインなどで差別化がしにくくなっています。
販売店としては、売れる種類が多いのは嬉しいですが、いまは軽自動車のN-BOXやコンパクトSUVのヴェゼル、ミニバンのフリード、そして新たに発売された新型フィットが主力となっているので、セダンが欲しいお客さま以外には積極的におすすめしてはおりません」(ホンダ販売店スタッフ)

一方で、前出のスカイラインはビッグマイナーチェンジを遂げて、好調な販売を見せています。スカイラインの2018年の年間販売台数は約2000台でしたが、マイナーチェンジ後の3か月で1974台を受注し、前年の年間販売台数と同等の台数を記録しているのです。
マイナーチェンジ後のスカイラインについて、日産は次のように話します。
「新型スカイラインは当初の想定以上にガソリン車の割合が高くなっており、そのガソリン車のなかでもスポーティグレードの400Rは約6割を占めます。発売以来のグレードごとの月別販売実績でも、400Rがナンバーワンの人気です。
また、購入者の平均年齢が50代後半というセダン市場のなかで、400Rの購入者の約3割は40代以下となっており、驚いております」
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また、前出のカムリも2018年にスポーティな新グレード「カムリ WS」を追加で発売しています。
カムリ WSの導入背景やデザインコンセプトについて、チーフエンジニアの勝又正人氏は次のように話します。
「もともと、導入済みの2017年に発売した10代目カムリについても、常に若者に購入してほしいと考え企画しました。年齢層としては、30代後半から40代前半の方に購入していただけたらと思い開発しました。ただ、10代目カムリにおいては先代カムリからの乗り換えが多く、50代後半の方で占めています。
また、他社の国産ラグジュアリーセダンや欧州メーカーのミドルセダンに乗っているようなお客さまから『久しぶりに気になるクルマがあるんだけど』という形で販売店に足を運んでいただいています。
今回のカムリ WSについては、先行受注の段階において予想より若い20代や30代の方々にもご購入いただいているのには正直、ビックリしています」
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このようにセダン市場全体では、縮小傾向にはあるものの、「スポーティ」や「若者向け」といった従来のセダンに対するイメージを覆すモデルであれば、セダン人気の復活もあるのかもしれません。
Writer: くるまのニュース編集部
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